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願望アプリ

第1章 願望アプリ

 僕は手を振り払おうとした。
 でも今度は逆に僕の下半身を京子ちゃんに触られて、僕は固まった。


「どうしよう、ドキドキする……ねえ、祐介くん……」


 京子ちゃんはトロンとした目で僕を見つめてくる。まさか京子ちゃんにこんな性癖があったなんて……。


 全身の血液が下半身に集中して、何も考えられなくなる。いや……ここで考えられなくなってしまったらおしまいだ。


 きっと中島はこうやって迫られて欲に負けてしまったんだ。
 そしてもしかしたら先生も……。


 嫌だ。ここで間違いを起こして、人生終わるなんて冗談じゃない。
 僕は好きな人と一緒にいたい。
 例え美晴ちゃんが誰を好きでも、僕は美晴ちゃんのそばにいたい。


「ごめん……」

「え?」

「ごめん、僕は君の気持ちに答えられない」


 僕はきっぱりそう言い放つと、同時に開いた扉から飛び降りた。
 混雑する人を掻き分けて、改札口を出る。そしてバレンタインのイベントが行われている公園へと走った。


「美晴ちゃん!」


 美晴ちゃんはまだ一人でベンチに座っていた。


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