テキストサイズ

願望アプリ

第1章 願望アプリ

「祐介? どうしてここに?」

「中島はどうしたの?」

「中島くんは……」


 そこまで言うと、美晴ちゃんは言葉を詰まらせた。


「……今、別の女の子と会ってて……」

「あのやろっ……」

「でも違うの! 浮気とかじゃないの! だって中島くん、ちゃんと言ってくれたもん……美晴が一番好きだよって……必ず戻ってくるから待っててって……」


 そう言うと美晴ちゃんは、僕にスマホ画面を見せてくれた。


「!」


 スマホ画面には中島とそっくりのアバターが中島と同じ声を出して喋っている。


《美晴、俺が好きなのは美晴だけだよ》


 気持ち悪い。
 しかも動作も生々しくてゾッとする。


「美晴ちゃん、これは中島じゃないよ。中島の姿をしたアプリのアバターなんだよ」

「……そう……かもしれないけど、でもリアルの中島くんと繋がってるの! だから彼が話すことは全部中島くんの本心なんだよ?」


 美晴ちゃんはやっぱりリアルと混同している。確かに京子ちゃんも僕しか知らないことを知っていたから、もしかしたらどこかで監視とかされてるのかもしれない。
 どっちにしろ、こんなアプリはもうやめた方がいい。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ