テキストサイズ

願望アプリ

第1章 願望アプリ

「美晴ちゃん、目を覚まして。中島は美晴ちゃんが思ってるような奴じゃないよ」

「……」

「僕なら……僕なら、美晴ちゃんを一人で泣かせたりしない」

「……祐介?」

「僕はずっと前から、美晴ちゃんのことが……」


 その時、僕の肩に何か堅いものが当たった。足元に転がったそれは可愛くラッピングされたチョコの箱だった。


「祐介くん、ひどいっ……!」


 振り返ると、そこには今にも泣き出しそうな京子ちゃんがいた。


「ひどいよ、逃げるなんて! あたし、頑張って祐介くんの好みの女の子になれるように頑張ったのにっ……!」


 僕は焦って思わず美晴ちゃんを見た。
 美晴ちゃんは呆然として京子ちゃんを見ている。


「祐介くん、言ったよね……美晴ちゃんの姿になってくれれば、触ってくれるって!」

「!?」

「だからあたしっ……すっごく恥ずかしかったけど頑張って電車の中でっ……」

「ち、違うだろ!? それは君が自分で触らせようとしてきたんじゃないか!」


 あまりにもいい加減なことを言うので、僕は思わず反論した。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ