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願望アプリ

第1章 願望アプリ

***


 やったね!
 中島くんの写真、ゲットしちゃった!


 隣のクラスの京子ちゃんとスマホを交換して京子ちゃんは中島くんの写真を、あたしは幼馴染みの祐介の写真を撮って、お互い好きな人の写真をゲットした。


 最近女子たちの間でひそかに流行っている神アプリの『願望アプリ』。


 願望アプリは好きな人の写真をアプリで撮ると、好きな人そっくりのアバターが現れて、乙女ゲームみたいに文字で会話をしてくれるという優れもの。
 しかも願望を伝えれば、アバターが必ず叶えてくれる。


 早速あたしのスマホ画面には、中島くんそっくりのアバターが出現した。


《おはよう、美晴》


 残念ながら声は出ないけど、笑顔の中島くんから文字で話しかけてもらえる。
 あたしは「おはよう、中島くん。これからよろしくね!」とすばやく文字を打った。


《よろしく、美晴》


 やばい、顔がにやける。
「美晴」と呼ばれていちいちキュンキュンしてしまう。
 

 本物の中島くんとはこうは話せない。
 中島くんの周りにはいつも女の子たちが群がっているから。
 珍しくさっきは祐介としかいなかったけど……。てか、あたしが祐介の写真撮ってたの、誤解されてないよね? ちゃんと京子ちゃんに頼まれたってアピールしたし。


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