禁断の夏合宿
第2章 夏合宿スタート
「桜川は来ないんですか?」
センター長の泉谷は
残念そうな顔を隠さずに落胆した。
聞けば、泉谷は桜川の大学のOBで、
桜川の頼みならと
他校からの利用予約をキャンセルまでして
ノビノビとセンターを利用してもらおうと
手筈を整えてくれたのだそうだ。
ほんとに申し訳ありません…
平謝りすると、
全然気にしないでくださいと
そう言ってくれたものの
やはり残念そうなオーラが
泉谷の全身を覆っていた。
20室ほどある宿泊部分は
帰りにちゃんと清掃してくれるのであれば
自由に使用してかまわないと言ってくれた。
吉本としては、
クラブの部員同士の
結束や友好を深めるためにも
数名ずつの相部屋にしたかったのだが、
またもや大ブーイングに負けて
各自に個室を与える羽目になってしまった。
初日は各自のコンディションを
整えるという意味で自由時間を与えた。
これが奏をきたし、
女子生徒は心を開いてくれて
吉本の部屋を訪れて
話しかけてくれたり
おやつを差し入れに来てくれたりした。
『騒がしいけど、
いい子ばかりじゃないか…』
よし、明日からはビシビシと鍛えるぞ!
吉本は俄然やる気がでてきた。