テキストサイズ

片恋は右隣

第2章 ワンナイトじゃないんですか


逃げ場所がない。
手のひらで胸を包みながら愛液を塗り込むような手つきは、普通に慣れている男性のやり方だった。

「あぁぁ……っ……だめ、え」

喉から出るのは戸惑い気味の声色と、媚びが混ざったような自分の声。
それは拒絶をあらわすものとは程遠い。

後ろから回された手で挿れられたのは中指?
入るところまで真っ直ぐに進んできて、グチグチいやらしく動く。

その滑らかな感触はもう純粋な快感しか運んでこなかった。

「ナカ凄いね……我慢出来ない……」

熱っぽい、独り言みたいな声が耳元に響く。
そのあとにジーッ、とジーンズのジッパーを外す音。
耳の端でそれらを収めながら、わたしは彼の指に没頭していた。

会社でデスクの上で見た倉沢さんの指。

長く綺麗なあれがわたしの中にいる。

蟲みたいな卑猥な動きで、
関節を曲げるたび、
指先が新たな膣壁を探るたび、
ビクンビクンと腰が動く。

「あう」

わたしの股間に熱を感じて目を落とす。
足の間から彼のモノの先がはみ出ていた。
それになにか思う間もなく、彼が前後にそれを擦り付ける。

秘裂を掻き分け、潰し、撫でていた。
わたしの愛液が彼の熱く硬い肉棒に絡まる。

こんな風に、ジクジクと痛みに似た疼きを感じたのはいつぶりだろう。
膝から下の力が抜けていく。

それでも享楽の喘ぎは勝手に喉から絞り出され、この先を強請る。

「はぁっ……もう、ああ、ああっ……あ」

自身の体を支えられない。

とうとう情けなく廊下に崩れ落ちたわたしの背後に重みを感じる。
彼が覆い被さる気配がした。
衣擦れの音と一緒にジーンズと下着をずり下げられて、このままされるのかと身を固くした。

「あんっん!」

それに反し、ピンと両方の乳首を引っ張られ、背中を大きく反らす。

苦痛を感じる筈の行為さえも。
いまの自分は甘くそれを変換し、悦んで受け入れてる。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ