片恋は右隣
第4章 幸せになったらダメなんですか
昨日あんな事があったからそれは仕方がないのかもしれない。
彼がもし付き合ってる人に浮気されたのなら、その類いのことにひどく過敏なるのは仕方がない。
男性に対して消極的になってしまったわたしだって、人のことは言えない。
今日はわたしは襟元までのブラウスを着ているけど、それさえも彼は見たくないのかもしれない。
あれから倉沢さんからの連絡はなく、それでもわたしとしては、もういいという思いもあった。
彼がこの先、平穏にここでやっていけるのなら。
それから上長の挨拶や改めての乾杯などを終え、終始和気あいあいとした雰囲気のなか、歓迎会は終わった。
「二次会いこー」「バーにする?」などという浮かれた声を外に聞きお手洗いから出ると、花邑くんはもうお店を出たあとだった。
少しだけためらったのちに、わたしは彼がいるはずのホテルへと向かった。