片恋は右隣
第4章 幸せになったらダメなんですか
「一方的だけど約束したから。 西鉄ホテルの803って、部屋捜したよ。 こんな奥にあったんだ。 なんか、これほぼスイートみたいだね。 どうでもいいけど」
辺りを見渡しながら感想を述べた。
遠方から偉い人を呼ぶときに使うような部屋だと思う。
ドア口から動かないわたしのことを、怖がっているかもしくは警戒していると思っているのか。
花邑くんがこちらから距離を置いてソファに腰をかけた。
「せっかくだから。 ただのビジホじゃムードないし」
外見はいい方だし、元々人によく好かれそうな明るい性格でもある。
彼が女性慣れしていないとは思えない。
「心配しなくっても大丈夫だよ。倉沢さんよりおれの方が若いんだし、三上さんとの付き合いも長い。 相性だっていいと思うよ」
「うん。 わたしの方が歳上なんだよね。 だから言うけど、花邑くん。 こんなことしちゃダメだよ」
「歳上なら色々分かってるでしょ。 そのうち自然におれんこと好きんなる。 恋愛のきっかけなんて、結構些細なもんだし」
「……だから軽挙妄動なのかな。 なんで花邑くん、わたしが言うこときくと思ってたの?」
そもそも若いからいいなんて考えってどうなんだろう。
それなら自分も若い女の子を探せばいいのに。
そこですでに矛盾してる。