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片恋は右隣

第2章 ワンナイトじゃないんですか


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その日わたしは自宅のマンションに帰り、都内で就職してる元同じ大学の友人に連絡をとった。

お風呂上がりにビールの缶を開けて。
ワイシャツだけを引っかけてドカッと座り込む。

会社で愚痴れる類いの話じゃないし、我慢できないほどでもない。
それでも日々悶々と蓄積されていく鬱憤でストレスMAXだった。

『はいはーい。 いい話?』

しばらくののちに聴こえてきた相手の呑気な声にほっとした。

「相談という名の愚痴」

『面白そうだね。 待っていまお茶入れるから』なんて、気の置けない友人が返事をする。
わたしの方もキッチンでスナック菓子を取りに行ってまた座り直す。

ここの所の出来事や困りごとをひと通り彼女に打ち明けた。
なんだそんなこと、という風にスマホの向こうの相手が笑う。

『三上ちゃん、自意識過剰過ぎ』

開口一番そう言われた。
だよね。

「自分でもそう思う」

ちょっとクールダウンすると分かることだ。と改めて思った。
たぶんわたしが彼女でも、同じことを言うと思う。

『ええとさ。 大学で離れたんなら、もう十年以上前のことでしょ? 本人に元同学っての、サラッと言えばいいじゃない。 いい歳なんだし』

「なんだかね。 ああこいつ、あの目立たない女だったのかって、思われそうで。 いや、今も決して目立つわけじゃないんだけどさ」

『うーん。 実際、三上ちゃんは大学では彼氏途切れなかったもんね。 けど、べつにその彼のこと好きなわけじゃないんでしょ?』

「今さらって感じ·····けど、かなり気にはなってる」


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