片恋は右隣
第2章 ワンナイトじゃないんですか
『でも既婚者じゃね。 私もだけど、三上ちゃんもそういう倫理観強いじゃん。 だから気に病むことじゃないよ』
なるほど。
なんの期待も失望も全く不要ってこと。
そもそも過去がなにしてくれるわけでなし。
話しながらうんうん頷いた。
「そっか。 そうだよね、同会社の一社会人って関係なんだよね」
『そうそ。 ねね、連休にこっち遊びに来るんならサークル仲間で集まろうよ』
大型連休の際に特に用事がなければ、わたしは東京に遊びに行くことにしている。
「独身組も少なくなってきたよね。 切な」
『あははっ! だから楽しむんじゃないの』
「言えてる」
三十分ばかり他愛ない話をしスマホを切って、スーッと気が晴れた。
心の声を言語化すると、なぜこんなにわだかまりが減るんだろう。
もう有難いしかない。
わたしは友人に対する感謝を込めてテーブルの上に置いてたスマホに手を合わせた。
みると時刻は21時。
ストックのお酒もないし、コンビニに買いに行くのも気が進まない。
少し小腹も空いてるし。
久しぶりに外に出たい気分だった。
近所の馴染みのお店に少しだけ飲みに行こうと思い立った。