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終焉告げる金色の蝶と死想の少女

第3章 金色の蝶

柊と楪が介入する事は赦されない。叶える者はローエンで、従者はただ従うしかない。


それが常で、必然なのだから。


それでも楪は、不変を望まない。翠緑の少女となった蝶は想いのままに叫んだ。それは、心の水底から生まれた、紛れもなく楪の本音だった。


「主様……! 月伽様の望みは真実(ほんもの)です、だからどうか――」


それに、柊は当然驚いた。今までの楪なら絶対ありえない事だから。ローエンにも伝わってるはずだろうが、それを察する事ができるほど有能ではない。


ステンドグラスから射し込む光は、ローエンを神のように想わせた。“死神”のようにも見えるその男から出てきた言葉は、誰しもが予想しなかったものだった。



「死を想うのは。――生きたいと想うこと、なんじゃないですか。それに、あなたには待ち人がいる。その人と約束をしたのなら帰るべきですよ。どんな人との約束でも」


そろそろ頃合いなのだと、それは告げているようだ。



月伽も、何も語らない。


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