テキストサイズ

鬼の姦淫

第3章 鬼神との誓約


じっと私の顔を見詰めていた仲正さんが、口の端をほんの少しあげた。

「萌子。 わたしを許せとは言わない」

彼がトン、と私の肩を押して後ろに倒れかけ、慌てて目をつむると背中を抱き留められた感触がした。

「あ、えっ…きゃあっ…」

今まであげたことがなかった悲鳴が口から出たのは、身動きできないような男性の重みを始めてその身に感じたからだ。

「……良い香りだ。 わたしに触れられてから、夜ごと体が疼いていただろう? 今もほんのりと蜜が湿っている」

すうっと一呼吸をおいて、私の体を両脚に挟んだ彼が半身を起こし、着ていたシャツを肩から滑らせる。
私が今までみたことのない、ゴツゴツとした大人の男性の体だった。
先にそんなものを見せられてか、先の予兆を察してか、自分の顔がかあっと熱くなった。

「い、いやっ! 止めて…なん、で」

「義隆にやるには少々危険か。 だがわたしはお前に興味がわいた。 ああ、ここではいくらでも騒いでも泣いてもいい。 気にすることはない」

頭の上で束ねられた両手首は動くと自分の関節が痛んだ。
以前の戒めとは異なり、今は物理的な彼の力でこうされている。
その意味を考え、一つの可能性に思い当たり自分の声が震えた。

「わ、私……も、殺すんですか?」

愛理にしたみたいに、犯されて?
そんな私の表情をみて、仲正さんがちょっと驚いたように眉をあげ、そのあとにふと笑う。

「お前の望みを叶えるだけだ」

「待って下さい。 意味が……」

彼の体が私の方へと傾き、耳の下あたりに湿ったなにかが当たる。
自由になるのは足ぐらいだったので、バタバタと私がその場で暴れた。
すると手が軋んで苦痛に顔が歪む。

「い、痛いっ……!」

「では大人しくしていることだ」


ストーリーメニュー

TOPTOPへ