鬼の姦淫
第4章 記憶
一方、私が受け持っている観月くんはちょっとせっかちとはいえ、いつも元気で明るい子だ。
これも普段どおりの彼。
「だってなんか面白くね、こいつ。 デっカいチンコみてー」
「……下品ですよ」
そんな双子の様子はまるでアリやトンボかなにかを夢中でくびり殺す子どもの姿とそっくりだった。
生き物は抵抗せず、刺されるたびに体の色がどす黒く変わっていった。
こころなしか、生き物が段々と小さくなっていってることに気付いた。
性器というのかは分からない。
体のおそらく正面に、棒状についていた細長いものも、力なく皮膚の間に埋もれていく。
「ハハハッ。 ちっとは痛いんかなこれ」
「だといいんですがね。 ふふっ……ああ、坂下先生。 観月の担任の方ですよね。 これが終わるまで少々お待ちください。 余裕があれば、女性の様子を見ていただけるとありがたいのですが」
「……は」
非現実的な光景にひどく目まいがした。
それでも私は時招くんに言われるまま、覚束ない足を引きずるように女性の方へと向かった。
見たくないのが正直なところだった。
……それでも息を凝らして女性の脇へと寄り、地面に膝をつく。
三十代ぐらいの人だろうか。
悪い予感をいい意味で裏切り、その人の外見は綺麗なものだ。