鬼の姦淫
第5章 地下の墓
「えー、義隆にーちゃん。 もうちょっと話したいよ。 せっかく初めてオレらのこと知ってくれてる人間なのに。 センセいい人だぜ?」
「義隆さん。 こういってはなんですが、僕たちの通う学校で、松下先生のような存在は我々にとっては有用かと」
私を立ち上がらせようと手を引こうとする彼の周りに双子が並んでいた。
若林くんが居間の隅にあったバッグを私に押し付ける。
「子どもは黙ってろ。 大体、最初の方はおれも五嶋さんに賛成だ。 どんなものかも分かんないのに、お前らだけであれに手を出すな」
「義隆さん。 ……僕たちは、御社様や義隆さんとは違います。 そしたら、僕たちの存在意義が無くなってしまいます」
時招くんが若林くんを見ながら訴える。
その意味は私には分からなかったけれど、若林くんが自分の足元に視線を落とした。
「言い過ぎた。 けど、そんなことはまだ考えなくっていい。 おれはそれ以前に、……お前たちは五嶋さんの大事な子どもなんだって言いたかった」
「義隆にーちゃん。オレは間違ったことはしてない。 あの人が助かったんなら、父ちゃんに怒られたっていいんだ」
若林くんを見上げる観月くんの背後で、五嶋さんも顔を赤くしている。
大きな体をすくめ、双子を見詰めていた。
「……分かったよ」
やがて若林くんが小さく息を吐き、私の手首に回していた手に力をこめた。
「五嶋さん、あとから送りの件は頼む。 萌子立てるか」
「……分かりました」
「う、うん」
「ちょっと来て」