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鬼の姦淫

第1章 血のおくり花


「若林くんが最初に……見付けたの?」

誰を、とか、どんな様子で、とか、訊けなかった。

「怒りのほうが勝ち過ぎたら、泣こうにも泣けないんかな。 ……萌子もそうか」

じっと食い入るように愛理から目を離さないまんまの私に、若林くんが呟くように言った。

「おれは……を許さな…い」

途切れ途切れの彼の声を聞き取ることは出来なかった。



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