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鬼の姦淫

第1章 血のおくり花


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その事件以来、県境にあった田舎の小さな町の様子は一変した。
しばらくはひっきりなしに報道関係の人間が訪ねてきたし、女子高生猟奇殺人と銘打ち、連日ニュースをにぎわせた。

女の子を家族に持つ家は警戒して、子供を一人で外に出歩かさなくなった。
元々過疎化が進んでいた小さな町だ。
小学校や中学校から、引越しや転校が相次いだ。

そもそも高校にも隣の市までバスで通わなければならないような辺鄙な場所のせいもある。


それは私の家も例外ではない。

日が暮れてから帰宅したお父さんはリビングに入ってきたなり、ソファへと深く腰をかけた。
最近の私の送迎だなんだで気を張っていたのか、疲れた表情だった。

「ふー……。 ようやく転勤が受理されたよ」

「そう。 会社もうちの事情を汲んで優先してくれたみたいね。 聡もまだ中学生だし。 住みなれたここを離れるのは名残惜しいけど」

聡とは私の弟のことだ。
父方の祖母と同居を経て、私たちは物心がついた頃からこの町にいる。

たとえばリビングといっても、ところどころへこんだ畳に絨毯をひいたような古い家で、両親はそろそろ建て直しなどを考えていた矢先だった。



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