鬼の姦淫
第5章 地下の墓
「まあ……『存在意義』なんて話を出すんなら、おれのそれも悪鬼を無くすことなんだろう」
「……なにかあったの? 仲正さんと」
呼び方が変わったのもある。
あと、彼の名前を出すと若林くんは今みたいに苦々しい表情に変わる。
「こんなことをしたり調べてるうちに少しずつ、思うところが出てきた……悪鬼と仲正の性質は似てる。 依代の話をしたが、『ここ』が奴の依代だ。 もっとも、これを壊そうが仲正の場合は死にゃしない」
「この建物が……? たしかに仲正さんは怪我をしたり死んだりしないものね。 彼は鬼神なんでしょう」
「よく知ってるな」
「うん。 大学でも色々調べてたし……今みたいに詳しくじゃないけど昔、ここに来たときに……」
あれ?
そうだっけ。
教えてもらって、若林くんがここの上で仲正さんを呼びに来て。
「それで、お前。 昼間にあんなの見てぶっ倒れてた癖に、いまはこんなところでこんな話聞いても何ともないのな」
「そ……うだね? 一緒にいるのが若林くんだからかな。 仲正さんの場所だからかな? 今回は色々話してくれるんだね」
「……おれはお前にもうここへは来るな、そういったはずだ。 なのに来た。 それは仲正を選んだってことだろ?」
「え……?」