
恋、しません?
第1章 第一話 男友達の家政婦致します
菊子も雨と同じくピザに手を合わせ、「いただきます」と声を弾ませた。
二人で熱々のきのこのピザに食いつく。
「美味しいですね」
「ああ、美味しい」
二人が食すピザはチーズがふんだんに使われており、ピザとそれぞれの口の間にはチーズの橋渡しが出来ていた。
あっという間にきのこのピザを平らげた二人。
「次は何を食べる?」
雨に訊かれて、菊子は、今度は迷わずサラミのピザにした。
サラミのピザも美味であった。
サラミのピザを口いっぱいに頬張っている菊子に雨が、「そう言えば、日向とは上手く出来そうか」と訊ねた。
「げほっ!」
日向、と訊いて、菊子はピザを喉に詰まらせた。
「何やってるんだ。大丈夫か?」
心配そうに菊子を見ながら雨が言う。
菊子はペリエでピザを流し込むと「大丈夫です」と答えた。
大丈夫じゃないっての! と心の隅で自身に突っ込みを入れる菊子。
美味いものを食べている時に不味い話しはお断りというものだ。
ペリエと一緒に話しも流れてくれたらいいのに、と菊子は心底思ったのだった。
雨は涙目の菊子を怪しそうに見つめて、「もしかして日向と何かあった?」と菊子に訊いた。
言われて菊子は、さっきの日向とのやり取りを思い出す。
ええ、ありました。
ありましたとも。
だがしかし、とても言えません。
「別に何もありません」
即席の笑顔を作り、菊子は偽りの台詞を吐く。
「本当に?」
雨が鋭い目線を菊子に向ける。
「本当です。日向さんと私の関係は問題ありません。ですから、目黒さんはご心配なさらずに」
本当の所は日向と菊子の関係は心配しかないが菊子は雨にそう言ってやった。
それでも、怪しそうに菊子を見ている雨。
菊子は心の中で、ちっ、と舌打ちをする。
諦めるべからず。
妙に鋭い所があるこの男を何とか誤魔化そうと菊子は試みる。
「日向さん、お兄さん思いの方なんですね。目黒さんに対する熱い思いが日向さんからひしひしと感じ取れました」
菊子必殺話のすり替え。
この台詞に、雨の目が優しく細まった。
「ああ、あいつは俺の事を慕ってくれているんだ。こんな出来の悪い兄貴の事をさ。……なぁ、菊子、俺と日向と、苗字が違うだろ。気にならなかったか?」
雨が目黒で日向が木沙。
二人の苗字は違う。
二人で熱々のきのこのピザに食いつく。
「美味しいですね」
「ああ、美味しい」
二人が食すピザはチーズがふんだんに使われており、ピザとそれぞれの口の間にはチーズの橋渡しが出来ていた。
あっという間にきのこのピザを平らげた二人。
「次は何を食べる?」
雨に訊かれて、菊子は、今度は迷わずサラミのピザにした。
サラミのピザも美味であった。
サラミのピザを口いっぱいに頬張っている菊子に雨が、「そう言えば、日向とは上手く出来そうか」と訊ねた。
「げほっ!」
日向、と訊いて、菊子はピザを喉に詰まらせた。
「何やってるんだ。大丈夫か?」
心配そうに菊子を見ながら雨が言う。
菊子はペリエでピザを流し込むと「大丈夫です」と答えた。
大丈夫じゃないっての! と心の隅で自身に突っ込みを入れる菊子。
美味いものを食べている時に不味い話しはお断りというものだ。
ペリエと一緒に話しも流れてくれたらいいのに、と菊子は心底思ったのだった。
雨は涙目の菊子を怪しそうに見つめて、「もしかして日向と何かあった?」と菊子に訊いた。
言われて菊子は、さっきの日向とのやり取りを思い出す。
ええ、ありました。
ありましたとも。
だがしかし、とても言えません。
「別に何もありません」
即席の笑顔を作り、菊子は偽りの台詞を吐く。
「本当に?」
雨が鋭い目線を菊子に向ける。
「本当です。日向さんと私の関係は問題ありません。ですから、目黒さんはご心配なさらずに」
本当の所は日向と菊子の関係は心配しかないが菊子は雨にそう言ってやった。
それでも、怪しそうに菊子を見ている雨。
菊子は心の中で、ちっ、と舌打ちをする。
諦めるべからず。
妙に鋭い所があるこの男を何とか誤魔化そうと菊子は試みる。
「日向さん、お兄さん思いの方なんですね。目黒さんに対する熱い思いが日向さんからひしひしと感じ取れました」
菊子必殺話のすり替え。
この台詞に、雨の目が優しく細まった。
「ああ、あいつは俺の事を慕ってくれているんだ。こんな出来の悪い兄貴の事をさ。……なぁ、菊子、俺と日向と、苗字が違うだろ。気にならなかったか?」
雨が目黒で日向が木沙。
二人の苗字は違う。
