いつかの君に感謝を
第6章 処置室
「そろそろ始めようかな。まだ看護師さんの手助けはいらないので必要になったら呼びに行きます。ここは僕に任せてください。すぐ終わるからね?危ないからなるべく動かないように頑張って」
玲央は看護師さん2人を外に出し、舞の目線に合わせて頭を撫でながら言った。そしてタオルをめくって舞の腫れている部分の周りと表面に麻酔の入ったクリームを塗り始めた。
「大丈夫?痛くない?」
玲央は舞の表情を確認しながら丁寧にゆっくりと優しく塗りこんだ。舞は恥ずかしさから玲央と反対方向を向いた
玲央の手が腫れている中心部に近づいてくる度に舞の体はビクッとなり、時折体に力を込めていた。言うまでもなく、舞の顔にも苦痛の表情があった
「ごめんな〜、痛いよな。もう少しだから頑張れ」
そして玲央は心を鬼にして中心部ににも麻酔を塗った。舞は痛みから逃げようと体を動かすがビクともしなかった。
「ぃやッ……いッたい………んッいやッ………」
舞は苦痛に顔を歪め、痛みに耐えながら玲央に辞めてと訴えた。しかし玲央の手はその声が聞こえていないように動いた。
「これくらいで大丈夫かな。一旦終わり。よく頑張りました。麻酔が効いてくるまで痛いと思うけどすぐ良くなるから」
玲央はゴム手袋を外しながら舞に声をかけ、舞の上半身にタオルをかけてあげた。
舞は先程辞めてと言っても辞めてくれなかったことへの怒りと、恥ずかしさから玲央を無視してずっと壁の方を見続けた。