🥀Das Schloss des Todes🥀
第1章 mein Prinz
そして絶望の淵に立たされた私達を待っていたのは、残酷な未来だった。
ママは遺言書を残していなかった。自動的に親権がパパだった男に行く事は無いよとお兄ちゃんは言ってたけど、結局、親権者に代わる代理人が選ばれるよりも前に、元配偶者の親権が復活した。
「家庭裁判所って所に、親権者の変更申立をしてね。だからまた君達のパパになれたんだ。仲良くしてね。」
そう【パパ】にニコニコと言われた時、私は身の毛がよだった。
ピアニストを辞めたパパは普通のサラリーマンとして定職に就いていた。
けれども、やっぱりお酒は大好きで、愛想の良い表情を浮かべながら、パパは私達を引き取ったのだ。
スリムで引き締まった身体は、すっかりだらしない身体になっていた。典型的なビール腹で恰幅の良い巨体を揺らしながら、「クララ」と名前を呼び、馴れ馴れしく私の肩や髪に触れてくるのが凄く嫌だった。
でもそんなの序の口だったって、後で気付いた。