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🥀Das Schloss des Todes🥀

第1章 mein Prinz



その一夜を境に、パパは毎晩私の部屋に訪れるようになった。乱暴に抱かれる事も無く、避妊具を装着した上でのセックスだったけど、私にとっては悪夢だった。
「声は我慢してね。」って不気味な程に優しく笑ったパパに、私は全て奪われた。

初めてのキスも前戯もセックスも、全部。

口の中でアルコールの嫌な匂いが広がって、身体の性感帯を刺激されて、吐き気と共に味わいたくも無い快感が押し寄せる。


気が狂いそうだった。


贅肉を揺らしながら、獣のような息遣いで私の子宮の奥に精子を放つ男を、もうパパだなんて思えなかった。
体毛の濃い、肥え太った男に揺さぶられながら気絶する瞬間、いつも目を瞑って、くるみ割り人形の好きなシーンを思い浮かべた。

ねずみの軍隊を引き連れた、はつかねずみの王様とくるみ割り人形の一騎討ち。
その後、はつかねずみの王様に勝利を納めたくるみ割り人形が元の姿、お菓子の国の王子の姿へと変わり、ヒロインの少女クララはその王子と共に、お菓子の国へと旅立つシーンだ。


夢の溢れた世界。


私もクララ・シュタールバウムになりたかった。


呪いによって、くるみ割り人形の姿へと変えられたお菓子の国の王子様は、
大好きな優しいお兄ちゃんが良かった。



お兄ちゃんが


私の初めてを貰ってくれたら


絶望に打ちひしがれる事もなかったのかもしれない


でも、そんなことを思っても


どうしようもないのにね


艶かしい喘ぎ声をあげて、味わいたくもない快感を何度も味わいながら、私の頬から生理的な涙が溢れた。

脳裏にファンタジーな世界観を描きながら、この男とのセックスには限界があって、耐えきれなくなったその瞬間、一人寂しくこの世を去るのだという事も理解していた。


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