🥀Das Schloss des Todes🥀
第1章 mein Prinz
そんな陰鬱とした日々が1週間過ぎた休日、日曜の夕方。私を脅迫した醜い男が、丁度お風呂に入っている時だった。
「ちょっと話があるから、今から僕の部屋に来てくれないか?」とお兄ちゃんに声を掛けられた。特に断る理由も無く、頷いた私はお兄ちゃんの後を追いていった。
「アイツに毎晩、何をされているんだ?」
部屋に入り、扉をしっかり閉めたお兄ちゃんは真剣な眼差しでそう尋ねてきた。私は無言を貫こうとした。だけど、「大丈夫だよ、クララ」って優しく頬を撫でられてしまえば、私の涙腺は瞬く間に崩壊した。嗚咽混じりになりながら、私はお兄ちゃんに打ち明けた。
パパだった人に抱かれている。
本当は嫌なの。
でも拒否したら、私、学校に行けなくなっちゃうから、身体を差し出している。
でも本当は気持ち悪くて仕方ない。
助けて、お兄ちゃん。
「そうか。辛かったね。
でも大丈夫だよ。僕が守ってあげる。」
全てを話し終えると、お兄ちゃんにキツく抱擁された。どんな表情をしているか分からなかったけど、お兄ちゃんの腕の中で私は久しぶりの安堵感に包まれた。
「処女はお兄ちゃんにあげたかった」
固い抱擁が解かれ、自由になった私はお兄ちゃんに向かってそう言うと、唇を突き出した。
私の好きな柔和な笑みを浮かべたお兄ちゃんは、私の唇にそっと自分の唇を重ねた。
小鳥が花を啄むような親愛のキスから舌を絡めるディープなキスになるまで、然程時間はかからなかった。
二人の間に銀色の糸が引いて切れた時、
私は「上書きして」っておねだりした。
そうしたら少々困った顔を浮かべながらも、「ちょっとだけだよ。」と言って、お兄ちゃんは私の汚れてしまった身体に手を這わせた。
あの男が外出していれば、
お兄ちゃんと最後まで深く繋がれていたのに。
そんな事を思いながら、私の身体に丁寧な愛撫をするお兄ちゃんのヘーゼルの瞳を見つめた。
私はその時、何も知らない馬鹿な少女だった。
どういう意味でお兄ちゃんが私を守ると言ったのか、正確に理解していなかった。
いや、理解に至っていなくてもいいと思った。
自慢のお兄ちゃんが私を抱いてくれた。
その事実が嬉しくて胸が一杯になっていたから。