Biastophilia💋
第1章 Biastophilia
でも悔しい事に母の予言は正しかった。
やはり遺伝子には逆らえなくて、
私は母と同じ道を辿る事が決まっていたの。
それが発覚したのは、高校3年生の時。
普通の公立高校なら、受験生で忙しい時期だったけど、私は大学までエスカレーター式で上がれる名門付属高校に入学したから、厳しい受験戦争に参戦する事は無かった。
でも全て父の一存で決められた。
「誰がお前を養ってきたと思っているんだ?私の意見に従え。」
反論する暇も無く、そう言われた。
だから私の希望で来たんじゃないの。
でも皆は違った。
将来や夢を自分で選択出来るみたいなの。
頭脳明晰で品行方正な上流階級の学生の集まり。
私もその集団の一人だった筈だけど、無口な生徒を演じていた。
話しかけられれば会話に乗るけど、自分から話す事は無い。
基本、単独行為。
昼食も1人で取る事が多かった。
それでもイジメに合わなかったり、ボッチだと揶揄われなかったのは、
私が母親譲りの器量を持っていて美人だったから。
漆黒のような黒髪
二重のアーモンドアイ
長い睫毛に、鼻筋の通った高い鼻
薔薇のように赤い唇
モデルのように細い手足と豊満な胸を持つ私に対して、誰も悪口は言ってこなかった。
「千秋さんは高嶺の花」だって、どうでもいい男子生徒が言っていた言葉を耳にしたぐらい。
その点だけは恵まれていると思っていた。
本当はね、画家になりたかったの。
絵が私の癒しだった。
美術大学に行きたかった。
でも父には鼻で笑われただけ。
話すら聞いてもらえなかった
お気楽な彼らと会話をすると、純真無垢なあの頃を全て思い出す羽目になる。
それがとてつもなく苦痛だったから、会話は極力避けていた。