狂炎~狂った情炎に焼かれて~
第2章 侵食汚染
「亀山達も運営お疲れ様」
俺はあまり手伝えなかったが…。
「そういえば亀山達は何に出てたの」
「日色先生と同じく、人数の少ないところで埋め合わせ要員として参加してました」
「へぇ…運動とかは得意なのか?」
「得意ってわけではないんですが」
亀山が少し困ったように肩をすくめた。
「じゃあ、僕は後片付けありますので行きますね」
「あぁ…俺も手伝うよ」
俺は亀山と一緒に塩崎の元に向かい、球技大会の後片付けを手伝う。少し塩崎のことが気掛かりだったが、亀山達もいるから下手なことはして来ないだろうと高をくくっていた。俺は備品を体育館から生徒会室に運ぶ。
「疲れているのにすいません」
高人が後片付けを手伝っている俺に謝罪する。
「良いよ、別に…準備はあまり手伝ってやれなかったし」
仕事で忙しかった俺は球技大会の準備はほとんど手伝ってやれなかった。その分、当日は手伝わないと…。
「塩崎達はまだ帰ってないか…」
無人の生徒会室を見て、高人はため息を吐いた。
「日色先生…お疲れ様です、まだ五月ですが熱中症になると危ないので、スポーツドリンクどうぞ」
「ありがとう」
高人は生徒会室に備え付けられている冷蔵庫からスポーツドリンクをふたつ取り出し、そのうちのひとつを俺に渡した。俺と高人はスポーツドリンクを飲みながら塩崎達が来るのを待つ、久しぶりに激しい運動をしたせいか、眠気が俺を襲う。日頃の疲れも蓄積していた俺が眠気に抗えるわけもなく、深い眠りに付いた。
「高人が日色先生に………を飲ませてくれたんだ?ありがとう」
「別に…」
慶人が高人に抱き着いた。高人はまんざらでもないような顔で慶人を見る。
「んっ…」
「あぁ…起きたか」
塩崎は目を覚ました俺に目を細める。
「日色先生、おはよう」
俺が目を覚ましたことに気付いた慶人達が俺の周りに集まる。いつの間にか眠ってしまったことに気付いた俺は身体を起こそうとした。
「……な、なんだよ、これ」
身体を起こそうとして腕が不自由に感じた俺は自分の腕を確認すると俺の腕は結束バンドのようなもので拘束されていた。
「あぁ…腕を拘束させてもらうぜ、暴れると困るからな」
塩崎は不遜な目で俺を見る。