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飼い猫 🐈‍⬛🐾

第25章 メガネ男子と猫

犬が 耳を下げて 反省するみたいに
紫優くんが しゅんと お母さんに謝ったから…
しかも 正直過ぎるくらい 
赤裸々に理由を 話したから…
その潔さと 誠実さに 
怒るどころか 感動すら覚えて 
許可を出したに 違いないのだ。 

例え ソレが あざとくても…
紫優くんの笑顔に やられたんだな…。

紫優くん 恐っ…! と 震える。

何にせよ… 
明日帰るのが… 恥ずかしい!!! と悶えた。


「詩史… ご飯、食べる?
香緖さんが 夜ご飯を持たせてくれたよ?」

紫優くんが テーブルの上のお皿を 指した。

「お腹 空いてない…。 紫優くんは?」

「さっき 戴いたよ。」

「そっか…。」

そう 言いながら ピアノを見つめる。

懐かしい…! 


夏葉さんは ピアノ講師で…
家では 教えてないのだけど 
私は特別に 家で教えて貰っていた。
5歳から… 中学2年生くらいまで 習ってた。


「…さっきの曲…『マーリン メトワの魔法の家』の
挿入曲でしょ…? 
あんな難しい曲… いつの間に覚えたの?」

ちょっと 悔しい…!
私の 大好きな曲で… 挑戦したけど 難しくて
なかなか弾けない。
早いし 指が届かなくて… 
どうしても 躓いて しまうの。

負けず嫌いが フツフツと…
紫優くんに 嫉妬する。

「あぁ…! 難しいよね! 
詩史が 大好きな曲だったから 
弾ける様になりたくて…。 
でも 相変わらず 楽譜をちゃんと見ないから…
メチャクチャだよ?」

「…もう 1回 弾いて?
悔しいけど 私は弾けなかったから…。」

アンコール

紫優くんは ちょっと 頬を 赤くした。

「うん。」

私の左手を取って エスコートしてくれる。

近くの椅子を 誘導されたが、
私は 頭を振って 断り、
紫優くんの座る ピアノの前の椅子に 
一緒に 腰掛けた。


「何か… 緊張する…!」

紫優くんの顔が 珍しく 強張って…
ちょっと 嬉しい♪ と 意地悪く 思う(笑)


深く 息を吐いてから…
紫優くんは 演奏を 始めた。


この曲は 最初の展開から 華麗で…
その後 直ぐに サビフレーズが来る 
のだけど… 
サビフレーズは 何回も出てくるのに
ちょっとずつ 音が違って…

そんな事を 思い出しながら 
紫優くんの 演奏に 耳を 傾けるのだが…

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