テキストサイズ

飼い猫 🐈‍⬛🐾

第3章 認めない

「お粗末様でした!」

素っ気なく立ち上がって お皿を片付け始めると、

「洗い物、俺がする。」

紫優くんまで 立ち上がってくるので 
ぎょっとする。

「いいいいい… いいから!!!!!」

お願いだから 近づいてくるな!!!
近くに寄られたら… 思い出して 困る…!

高速に 頭を横に振って 遠慮する。

「でも…」

「紫優くんは お父さんとゲームでも
したら…!?」

紫優くんを 何とか遠ざけようと必死になる。


「お! 久しぶりにやるか!カート対戦!」

お父さんがノッてきてくれて 
助かった… と 安堵する。

「そう? じゃあ…」


それから お父さんと紫優くんのカートゲーム
バトルがスタートした。

私は お母さんと 片付けを始める。

一通り片付け終わると 私はこそこそと
部屋を目指す。

リビングのドアに手を掛けようとした時に

「っだあ~!!! 紫優 強い〜!!!」


お父さんの大声に驚いて 手が 空振りした。


「詩史〜! 仇取ってくれ〜」

「はぁ?! 何で私が…」

お父さんに反抗すると…

「対戦相手、交代? 詩史相手でも
手加減しないよ?」

紫優くんに言われて…  ムカッ💢

「上等じゃないの…!」

私は お父さんから コントローラーを奪い取り、
席も剥奪する。


GO !!!

紫優くんリードから始まったカート対戦。


このゲーム、何回やってると思ってるのよ!
コースを熟知、スピードの緩急…
全て…頭に入ってる。

ドリフトしながら 紫優くんを弾き出し ゴール間際で逆転勝利した。

「よしっ!」

思わずガッツポーズを取り 
勝ち誇って 紫優くんを見やる。

紫優くんは顎に手を寄せ
にこにこと私を見ていた。

「やっと… いつもの詩史に戻った!
さっきから カチコチだったから…」

紫優くんに 微笑まれて 
ぶわっ と 一気に 顔が 赤くなった。

「な…!」

「そんなに 意識してくれたんだ…。」

コントローラーを握る手に 紫優くんの手の温もりを感じて ドキッとする。

「可愛い… もう1回 キスしたい…」

声変わりした 聞き慣れない低い声で ソッと
私だけに 伝えてくる。

「…っ!」

色っぽい 声色…
男の人の 声だ…

紫優くんじゃ ないみたい… 

ドキドキ なんか したくないのに…!!

ストーリーメニュー

TOPTOPへ