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返す言葉に　迷っていると…


「詩史！　ごめん！　遅くなった…！」

部活が終わった紫優くんが　
走って　教室に入って来て…

固まった。


「…　は…？　悠理…？」

紫優くんは　私に近づくと　
悠理くんから　避難させる様に　私の手を引いて
立ち上がらせた。


「そんな　怖い顔するな　って…
指1本　触れていないよ…？」

悠理くんは　座ったまま　
冷静に　紫優くんに　話しかけた。

「紫優も大変だね。　詩史ちゃんが　可愛いコ
だと　皆が気が付き始めてる。
紫優を相手に　横取りするヤツは　
居ないだろうけど…
隙を見せたら　奪われるよ。」

「…。」


悠理くんの　徴発とも取れる言葉に　
紫優くんは　冷静だ。

その代わりに　近くにいた私の手を握って　
引き寄せた。


2人の成り行きを　ハラハラと　見届けていた私に
悠理くんが　声をかける。


「詩史ちゃん　可愛い寝顔　ご馳走様♡
危うく　キスしちゃう所だったよ…？」

微笑まれて…


ゾクッ…！
身の危険を感じて
思わず　紫優くんに　抱きついた。


何で…？　



ギリッと　奥歯を噛みしめて
紫優くんから　苛立ちを　感じ始める。


「…すっかり　紫優に　懐いてるんだね。
可愛いコが　猫ちゃんみたいに　
１人でフラフラしていたら　拐われちゃうよ…？」


「悠理…！　いい加減にしろよ！」

堪らずに　紫優くんが声を荒らげた。


「仕方ないだろ…？
俺だって　本気だったんだ！
詩史ちゃんへの想いは　今でも　
紫優に負けてたなんて　思わない！

フラれたって　詩史ちゃんを可愛く想う気持ちに
変わりはないし、　即　次を見れる様な…
そんな　軽い気持ちじゃなかったからね…！」


悠理くんの言葉が
ズドーーーンと　私の心に　のしかかる。


ああ…　悠理くん…　ごめん…！
そんなに私への気持ちを　持っていたんだね…。

私は　変わらずに友達だと　勝手に思って…
悠理くんを　傷つけて　いたんだね。

「俺の　この気持ちに　気づけよ！」
そう　言われたんだな…

私　やっぱり　ダメダメだ…


悠理くんの言葉に　気落ちする。


「関係性は…　少しの歪みから　脆く崩れる。
俺達　みたいに…
皆、　紫優と詩史ちゃんの　歪みを　探してるんだよ。」