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飼い猫 🐈‍⬛🐾

第31章 ボーイズラブ

紫優くんをキッと 睨んで…
背を向けて 歩き出す。

と…

直ぐ様 腕を掴まれて…
後方に よろけた。


「…っ!? 何するのよ…!!」

苛立ちをぶつける様に 怒ると
紫優くんは ぎゅっと 私に 抱きついてきた。

「詩史… 心配なんだ…」 

眉毛を下げて 泣きそうな顔をしてくる。


「…。」

いつもと様子の違う紫優くんを 無視する程
私だって 鬼じゃない。

どうかした? そう聞こうとしたのに…


「だって…
詩史が可愛い って 皆 言うんだよ…?」

「…は?」


子供みたいな我儘を 紫優くんは私に
必死で 訴える。

「信じらんない…! 皆 何を今更…っ!
詩史が 可愛いだなんて… 
そんな…当たり前の事を…っ 
今になって 付き合いたい だの…っ!
今まで 気がつかなかったクセに…!
色んなヤツらに 詩史が視姦されているかと
思うと… 気が狂いそう…っ!」


紫優くんは わなわなと震えて 
言葉が 止まらない。
忌々しい…! と言わんばかりに 
心の底から 叫ぶ様に 喋る。


なに… そんな事なの…?

「… あ っそ…」

バカバカしい…! と 呆れた。


「詩史… 冷たい…」

私にしがみついて 紫優くんは弱々しく告げる。


「今に 始まった事じゃ ないでしょ!」

「…彼氏彼女 なのに?」

「お互い 適切な距離感は 大切だと 思います!」

「甘えたい時だけ 
すごく甘えてくるクセに…!」

「ゔ…っ 」

痛い所を 突かれて… バツが悪い。


不意に…
紫優くんが 私の首筋を 舐め上げる。

「…っ!?! なに…っ! ヤ…!」


紫優くんは そのまま キツく吸いついて
私の首に 首輪を施す。

「…っ! コラ…っ! しう… っ…!」


痛い…!

涙目になってきて…
抵抗する力は どんどん弱くなる。

震える私の両手を 慰める様に そっと
紫優くんの手が 包む。

いつもの 儀式…


「詩史は俺の でしょ!」


そのまま 押し倒されると…
近くにあった 自分の鞄を 倒して…

晶ちゃんから 借りた ボーイズラブの小説が
紫優くんの目に 晒された。


「? 何の本?」

紫優くんが 慌てる私を 下敷きにしながら
本を 手に取る。


「へぇ… 詩史って こういうのに 
興味あったんだ…?」

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