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飼い猫 🐈‍⬛🐾

第3章 認めない

「どうやって 俺の手に 堕ちてくるのかな…。」

耳元で 囁く。 低く 甘く…
声色まで 武器にする。

「…っ!」 

紫優くんの声に 気を取られている隙に
顎を捕われて チュッとキスされる。

慌てて唇を閉じて 紫優くんの舌の侵入を 
阻止する。

「ふふっ。ささやかな抵抗だね… 可愛い♪」

紫優くんは 体を離し、 私の頭を撫でた。

「おやすみ。 また 明日ね。」

にっこり微笑んで 私の掌に 奪った眼鏡を戻した。

背中を向けて 

靴を履くと…


「…香緒(かお)さん、翔さん。 覗き見なんて
趣味悪いよ?」


紫優くんの言葉に驚いて リビング方向を見ると、
ドアに人影を発見した。
 

「んな…っ! は…ぁ?!」

恥ずかしさと怒りが込み上げる。


「ちぇーーーっ!  だって… 戻ってくるの
遅いんだもん…!」
 
リビングのドアから ふくれっ面のお母さんが
顔を出した。


嫌ああああ!!!!!

私は心の中で 大絶叫した。


「全く 香緒さんは 油断も隙もないな…!」

くすくす笑って 紫優くんは 帰って行った。


私はキッと 両親を睨む。

「どこから見てた?!」

「さぁ? どこでしょう?」

すっとぼける母の横で お父さんは顔を手で覆って
恥ずかしそうにする。

「詩史と紫優が… キスしてた~」

耳まで真っ赤にして 頭を横に振る。


「嫌ああああ〜!!!!!
何、見てんのよ! 最っ低!!!!!」


恥ずかしくて 死んでしまいそう だった。

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