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飼い猫 🐈‍⬛🐾

第35章 飼い主の夏休み

お化粧も していて…

長い睫毛が いつもより 際立つ
唇のルージュは 艶々で 色っぽい…


その 半端ない オーラに…

完全に 心を奪われた。


「紫優… くん?」

詩史が 立ち尽くす俺を 心配そうに 見つめる。


は…っ!

「ええ…っと…」
しどろもどろ…

あれ?  俺、めっちゃ動揺してる…!


「ふっふっふ…! どうよ 紫優…!」

母親が 腕組みをしながら 
勝ち誇った顔をして 登場する。


「?!」

「綺麗過ぎて 言葉が出ないでしょう?」

母親は 不敵な笑みを 浮かべた。

「アンタが 普段 困らせている子は 
こういう 綺麗な子 なのよ?
今日は 存分に 思い知るといいわ…!」


母親の言葉に 困惑する。


「…  変…?」


詩史が 何も言わない俺を 心配している。

上目遣いで…


「…っ !!!!! 」


ヤバい… すっごく 綺麗…!


「…っ 変 じゃない… すごく 綺麗…」

やっとの想いで 言葉を 作り出す。


「本当?! 夏葉さんがね、 浴衣を買ってくれて… 綺麗にしてくれたんだよ?」

無邪気に 笑いかける 詩史に…


ヤバい… 綺麗だし 可愛いし…
心臓 保つかな…?! 

不安になる。


いつもなら ベタベタと 詩史に触れて
キスをするのに…

躊躇われる程に 美しい…


「紫優くん 見て? 
ネイルも してくれたんだよ?
このスイカが 可愛いよね♡」

嬉しそうに 艶々な爪を 見せてくれる。


「うん… 可愛い…」 詩史が… とっても…


「見惚れてないで… 
ちゃんと詩史ちゃんを エスコート しなさいよ?」

母親の 言葉に ハッとする。


そうだ… こんな 目立つ 綺麗な子を
連れて歩くなんて…
手を離したら 危な過ぎる…!


「詩史… 今日は 手を 繋がせて?」

自分の手を 差し出したものの
詩史の手を 握る事さえ 躊躇われる。

何せ 艶々と… 詩史の全てが 眩しい…!


「繋がせて? いつも 何にも言わずに
構わずに 触ってくるクセに…!
まさか 今さら 私の気持ちを 配慮してるの?」

詩史が 盛大に 不審がる。


そうだよね。 詩史の言う通りだ…
確かに そうなんだけど…

今日は… 「繋がせて下さい」 な 気分だ…


「変な 紫優くん…!」

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