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飼い猫 🐈‍⬛🐾

第36章 祭り の あと

ゴクッ と 紫優くんの喉が 上下する。

「すっごい綺麗…!」

漸く 口を開いた紫優くんに 

まだ言うか…! と 苛つく。


綺麗なんかじゃ ない!
触ってよ…


心が 遠い…  寂しい…


しゅん… と 気落ちする 私の腕を
紫優くんの手が 急に 引っぱって…

バランスを 崩した私は 
そのまま 紫優くんの上に 倒された。

乱れた髪を 優しく 掻き分けて
紫優くんから キスを してくれる。


今まで 当たり前の様に していたキスが
こんなに 嬉しいなんて…


紫優くんの手が 私の頭を 撫でると
思わず 微笑を漏らして
私は すっかり機嫌を直した。


「… 折角 反省してたのに…
そんなに 触って欲しかったんだ ?」

「うん。触って 欲しい… 
じゃなきゃ… 家出する…!」


そう…
すっかり 紫優くんに包まれる 心地良さを 
覚えてしまったから…

この温もり を 与えて 貰えなくなったら
エサを与えてくれる人を捜す 猫ちゃんみたいに 
ふらついちゃうかも…。


「…ソレは 困るな…。」

紫優くんは 起き上がると
中途半端に 絡まっていた 浴衣を 
丁寧に 取り除いてくれた。


「この浴衣… 誰が選んだの?
とても 詩史に 似合ってる…」

「夏葉さんが 何着か…
でも 最後は私が 気に入って…」

私の説明に 紫優くんは フッと 口元を緩めた。


「また 着て見せてね…!
俺の色が入った浴衣… 
すごく 嬉しかったから…」

「うん…」


紫優くんは  浴衣を抱き寄せると キスをする。


何故かな…
私が キスされている みたいな錯覚になる。

愛しそうに 浴衣を撫でて
流し目に 私の様子を確認する。


ドキ…ッ

妖艶!


紫優くんは 丁寧に 机の椅子に  浴衣を掛けると
下着姿の私を  ギュッと 抱きしめた。


「 詩史…  何をして 欲しいの?
いっぱい 触ってあげるよ?」

微笑まれて  聞かれるが…


ハッと我に返る。


恥ずかしくて  言える訳がない…!


顔を真っ赤にして 固まった。


「あれ? さっきまで あんなに 積極的だったのに…
恥ずかしく なっちゃったの?
詩史らしいね…」

ふっ と 紫優くんが 笑いかける。

その 笑みは 意地悪なものではなくて…
いつもと 違う…?

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