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飼い猫 🐈‍⬛🐾

第5章 首輪

「今回は 詩史から 俺を 求めたんだよ…?」


自分の部屋の ベッドの上で
紫優くんとのやりとりを反芻しては
心の中で 絶叫し 悶えた。


いやいやいやいや !!!!!

アレは 本来の 私じゃない…!!!

弱味に付け込む 紫優くんに 嵌められたんだ!

罠…! そう… 罠よ…!
流されちゃ ダメ…っ!!!


私は 気を引き締め直して 
いつもより早く 家を出て
紫優くんに会わない様にする。

登校時間 1時間前


きりりっ ✨ 本来の私を 保つ。

私は 真面目な優等生なのよ。
紫優くんに 振り回されて 私の評判を 落として 
なるものですか…!

いつもの様に 校内を 颯爽と歩く。


「わー 倉田さんだぁ… 今日も 綺麗… 」

「近寄り難いけど 清楚よね…」

「知ってる? 倉田さん すでにウチの大学の推薦枠
確定らしいよ?」

「ええ?まだ高校生活 始まったばかり
なのに?! どんだけ優秀なのよ…!」


そう…
本来の私は 愛想はなくても 清楚な印象の
優等生!

あんな 誰にでも 愛想を振り撒く様な 
チャラチャラしたアイドル風情に 私の印象を
汚されて なるものですか…!


「詩史ちゃん!」

呼ばれて 振り返ると… 
数少ない私の友人
幼馴染で読書仲間の 大木悠理(おおきゆうり)くん
だった。

「ああ! 悠理くん! おはよう!」

「何か… 体調悪かったって聞いたけど…
大丈夫なの?」

「ああ… うん。 ありがとう。 ぼちぼちかな?」

「…無理しないでね? 詩史ちゃんは 昔から
頑張り屋さんだから 心配だよ…!」


悠理くんとは 幼稚園が一緒だった。

小学校は違ったけど、 紫優くんと 
サッカークラブが一緒で、 ちょこちょこ顔を
合わせる仲だった。

この学校に入ってから お互いに読書好き と
わかり、 仲良しになった。

性格もほんわかしていて とても話し易い。




「ね、 一条聡司(いちじょう そうじ)の新刊、
読んだ?」

「読んでない…! あ、そっかぁ!もう発売してる
のか!」

話題は 大好きな作家の新刊話に 移った。

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