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飼い猫 🐈‍⬛🐾

第42章 朝練

朝ご飯を
なぜか 紫優くんと 並んで食べる。

「ご馳走様でした。 行ってきます。」

手を合わせてから
淡々と学校へ向かう準備に取り掛かると…


「あれ? 早過ぎない?」

紫優くんの呼び掛けに 頭を横に降る。

「ちょっと やる事があって…
先に行くね。」

「ふーん…?」


通常登校の1時間前。
時間がある時は 私は 朝練に向かう。

学校に着いて、 クラスに鞄を置くと
気合を入れて 「あの場所」へ向かう。


ドキッ ドキッ…

早くなる心拍数… 

息苦しさを 感じない様に 深呼吸をしながら近づく。


大丈夫…! 
この前は あそこまで 行けたじゃない…!

自分を励ましながら「あの場所」へ向かう。


「…詩史」
「ぎゃあああああ!!!!!!」


突然 背後から 声を掛けられて 大絶叫した。

振り向くと いつの間にか 紫優くんが…!


「なぁに?!もぉ! 気配無かった…!」


涙目になりながら 怒ると
紫優くんは 溜息をついた。


「…そんなに 頑張らなくても 良くない?」


震えている私の手を 握ってくる。
温かくて… ちょっと 安心する。


「大丈夫! コレは 私自身の戦いだから…!」


朝練… とは 
愛茉ちゃんに突き飛ばされた 階段の克服の事。
このまま通れないなんて 負けるみたいで…
そんなの 嫌だ!


「そんな 青ざめた顔して よく言うよ…」


紫優くんの言葉に ムッとする。

「紫優くんには 関係ない!」


キッと睨むと 
紫優くんこそ苛ついて チッと 舌打ちをした。

「負けず嫌い…!」

ぼそっと言うと、ひょいっと 抱き上げられて…
気がついたら 肩に 担がれていた。


「?! ちょっとっ! 何するの! 変態 !!! 」

ジタバタと 離せ…! と暴れる。


「暴れると 階段から 落としちゃうよ?」


紫優くんの言葉に反応して…
大人しく 抵抗を止めた。


そうして降ろされた場所は…
あの 階段の場所。


「着いたよ?」
「わかってる!」

紫優くんの 徴発する様な言葉に 噛みつく。

それから
ごくっ と 喉を上下させて
無言で 階段を見つめる。 


前に… 進めない!


あの柱の陰に 愛茉ちゃんが 立ってて…

「…っ」

段々と 浅くなる呼吸を
何とか 深く息をしようと 必死になる。

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