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飼い猫 🐈‍⬛🐾

第6章 対決

「で、 何がお望み?」

紫優くんはバスケットボールを回しながら
聞いてくる。 

「1on1で 勝負よ!」

「…詩史 いくらなんでも 無謀じゃない?」

私の身長 160センチ。
紫優くんはそこから 多分10センチ以上高い。

「煩い! やるのよ!!!」


体育館に移動し ハーフコートで 対決する。

「詩史 ハンデは?」

紫優くんの言葉を無視して ボールを奪いに
かかる。


私はミニバスとはいえ 小学校の6年間、
チームのエースだって 務めた。

いくら 運動神経が良くたって
学校の授業以外で バスケットボールに触った事がない紫優くんに 簡単に 負ける訳にはいかない!


ところが…

紫優くんは 私の予想以上に 上手かった。


コレは… お兄ちゃんから バスケの指導を 
いつの間にか 受けてる…!

大きな 誤算だった。


私は 紫優くんのお兄ちゃんのバスケ姿に憧れて
バスケを 始めたモノだから…

紫優くんは お兄ちゃんに嫉妬して 不貞腐れて
やりたがらなかった。
なのに…

何 ちゃっかり 上手くなってるのよ… (怒)
前より全然 上手いじゃない…!
許せん…!

私の闘志は 完全に 火が点いた。


汗を拭って 紫優くんの出方を注視する。


「ふふっ♪ やっぱ詩史チャンは上手いね♡
普通は コレで 躱せるんだけどな~♡」

余裕そうな言葉。 
だけど 紫優くんの 表情を見ると…
必死…!

「ふ…っ!」

私は 思わず 吹いてしまった。

「?!」

私の突然の吹き出しに
怪訝な顔をする紫優くん。 更に笑える!

ああ… マズい! ツボに入って 笑いが止まらない。

さっきまで 怒ってた筈なんだけど…

紫優くんが 予想以上に 上手過ぎるとか 
滅多に見ない 必死な、怪訝な表情とか
そんな表情を引き出している自分に対して とか 
純粋に バスケが楽しい!!とか…

色々な気持ちが 引き出される。

負けたくない勝負 なのに…


紫優くんは 私に出来た 隙を見逃さず…
あっという間に シュートを決めた。


ああ… しまった!

私は 心が 擽ったくて 笑い続けた。


「…何、 その笑顔…。 」

紫優くんは 少し ムッとした顔をする。


「ふふっ… だって… 
楽しかったんだもん…!」

お腹を抱えて 笑っていると 涙まで出てきた。

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