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飼い猫 🐈‍⬛🐾

第45章 可愛いメイド

相変わらず 綺麗だ…
魅入ってしまう…。


詩史がダンス教室を辞めた時は
正直 ホッとした。

あのまま 続けていたら…
詩史は 確実に 俺の手の届かない 高みまで 
登って… きっと 捕まえられなかった。


「紫優…!」

俺を呼ぶ声がして… 顔を上げると
人混みの中、頭1つ抜けてる怜央が 手を振る。

「?! 大丈夫か?! 顔色が悪いぞ?」

俺の顔色に気がついた怜央が 心配する。


正直… 大丈夫じゃない。

やっと 手に入れたと 思ったのに…
詩史は やっぱり 猫みたいだ。
俺の腕をすり抜けて 外の世界へ 行こうとする。
俺の腕の中だけで 満足してくれない…

俺を… 置いていく…


「紫優! しっかりしろよ!
詩史を守れるのは お前だけなんだぞ?
詩史は真っ白で… 外の世界を知らな過ぎる!
危なっかしいヤツだ。
何より詩史は お前を選んだんだろ?」


怜央の言葉に… ハッとする。

黒い気持ちに 支配されかけていたと 我に返る。


「囚われの お前の姫を 助けて来い。
で、そのまま 逃走しろ。
お前らの荷物は 後で持って帰ってやる!」

頭をポンと叩かれて…
胸に じんわりと 怜央の言葉が優しく響いて…
泣きそうになって 俯いた。


「惚れ直した?」 

ニコッと 調子に乗る怜央に 
いつもなら グーパンチを 喰らわせるけど…

「ありがと 怜央兄…」

怜央の胸に 頭で小突いて お礼を言った。


「か…っ 可愛…っ 紫優…っ !!!!! 」

抱きついて来ようとする怜央を ひらりと躱して
詩史を救出しに 向かう。


詩史が ダンスが上手いなんて
愛茉には 大きな誤算だろう。

貶めるどころか…
詩史の魅力を わざわざ 引き出す様な
ものだ!

バカなヤツ…
そして 余計な事を しやがって…!
詩史に集る虫が 増えて 困る。


愛茉への怒りが 募る…


ステージ 裏に つくと
ステージを降りる 無表情な詩史を 発見する。


あの顔は… 
心を凍らせて 無理をしている時の表情だ。
眼鏡の奥の瞳が 何処までも 冷たい。


人混みを掻き分け… 
急いで 詩史を抱きしめて 
感情の解凍に 努める。

とりあえず 傷つけられた様子が 無い事に 
胸を撫で下ろすが…
詩史の 手の震えに気がついて
一刻も早く 愛茉から離したい と足早になる。

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