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飼い猫 🐈‍⬛🐾

第45章 可愛いメイド

「もう2度と詩史に関わるなよ!」

愛茉に  言いたい事は 山程有ったが
詩史の 安全確保が 最優先だった。


この場を 離れようとすると…


「詩史ちゃんが 可哀想…!
どうせ  別れなきゃ いけないのに…」

愛茉の言葉に ドキッ…!とした。


何で 今、ここで言うんだ…!


愛茉に 激しい怒りを覚える と同時に
詩史を不安にさせてしまう…! と焦る。


「詩史! 耳を貸さなくて いい!」


何を言い出すかわからない愛茉を恐れて
慌てて その場を離れた。

でも 道中 詩史の顔色が悪くて… 
心配になる。


「詩史… 大丈夫?」

声を掛けると…
詩史は急に 足が震えて 立てなくなった。


「あ…あれ…?
ヤだ…! 怖かっ…」


それまで 気を張っていた事に
詩史自身 気がついて いなかった様だ。


コレだから 詩史は 心配なんだ…!
負けず嫌いにも 程がある!


「ばか…! 無理するなよ!」


誰の目にも 触れさせない様に
コートで 詩史を隠して 抱き上げる。


「… 早く安全な お家に 帰ろうね…?」


震える詩史を 一刻も早く 安心させてあげたいと 必死になる。


タクシーに乗り込んで 

自分の部屋に 詩史を連れ込むと 漸く安心出来て
ホッと 胸を撫で下ろした。


ベッドの上で 縮こまって座る詩史に 近づいて…
ぎゅっと 抱きしめる。


「すぐに 助けに行けなくて ごめん!」


怖い思いをさせてしまった と 胸を痛める。

 
「大丈夫…  ありがとう…」

毅然とした態度を 取ろうとするけど…
詩史の顔色は 優れないままだ。


「…何か 飲み物を…」


立ち上がろうとすると…


「紫優? 帰って来たの?」

トントンと ドアのノック音がして 
母さんが 声を掛けてきた。


「母さん… 入っていいよ。」


ガチャンと 扉が開いて…
母さんが 詩史に駆け寄る。

「詩史ちゃん…?」


いつもの詩史なら 母さんを安心させようと
嘘バレバレの 笑顔を作るのに…
今は 俺にしがみついているだけだ。


「愛茉が 詩史に近づいたんだ。」


俺の説明に 母さんは詩史を心配するが…
詩史は 気が抜けたのか 放心状態だった。


自分では何も出来ないと わかると 
母さんは 暫く家を空けてくれた。

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