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飼い猫 🐈‍⬛🐾

第46章 時が 来たら…

「詩史!」

突然 名前を呼ばれて… 
ぎゅっと手を 握られた。


危うく 暗闇に 墜ちる所だった。


「勝手に…だよ! ウチの両親も認めてない。
ただ… 詩史が振り向いてくれなかったら
向こうで祖母の事業を引き継ごうかと
思っていた時期もあって… 
婚約も 適当に聞き流して
はっきり 断っていなかったから
先方がよいよ 乗り気になってきちゃったみたいで… 
ちゃんと 断りに… 来年アメリカに行く。」


紫優くんの言葉に ショック を受けた。


婚約者が いたなんて…
しかも おばあちゃんが 
私との仲を 反対していたなんて…


「詩史… 不安にさせてごめん!
でも俺は 詩史とずっと 一緒に居たい… 
詩史以外は 要らないんだ!」

強く 強く 抱きしめられるけど…

怖い…
全然 心が 落ち着かない。


「紫優くん… だって おばあちゃんが…」

「関係ないよ!
やっと 振り向かせたんだ…!
詩史を 手放せる訳がない!」

青ざめる私を 
紫優くんが キツく 抱きしめ続けてくれる。

紫優くんが 抱きしめていてくれないと
心も 身体も バラバラに 砕けちゃいそう…


紫優くんのおばあちゃんの話は 
夏葉さんから 聞いた事がある。

アメリカで 飲食店を4店舗ほど経営している
なかなか凄腕のおばあちゃんだ とか。

紫優くんのお父さん、景斗さんは
日本で その系列の飲食店を 手掛けているのだと 聞かされている。


「ちゃんと 向こうでの話を 
しっかり 片付けてくる!
父さんも居るし、大丈夫だ!」


正直 不安はある。

でも… 紫優くんが 私を見つめる
真っ直ぐな瞳は 信じられる。
力強い言葉は 信じられる。

今までも
数いる 魅力的な女の子達を選ばずに…
紫優くんは  私の手を取り続けてくれた。


「… 信じ る…」


私の言葉に 紫優くんは少しだけ
ホッとした顔を見せた。
でも
私のショックを 少しでも和らげようと
紫優くんは 必死になって 言葉を紡ぎ続ける。


「…愛茉の言葉を すぐに否定出来なくて ごめん。
俺も… あの場では動揺して…

詩史と別れるなんて 絶対にないから信じて…! 
俺は 詩史が居ないと 生きていけないから…
詩史だけ… 詩史だけだよ…?
詩史しか要らない。 絶対に 離さないから!」

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