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飼い猫 🐈‍⬛🐾

第46章 時が 来たら…

紫優くんのあまりの 必死さに
段々 可笑しくなってきて…  ちょっと笑えてくる。


「…本当に 病的!  言い過ぎだよ…(笑)」


私が苦笑すると
紫優くんは 少しムッとした顔で 反論する。


「病気じゃない!  反対だよ。
詩史が居ないと 病気になっちゃう…
詩史は昔から 俺を作り上げている一部だよ。
詩史が居ないと バランスが 取れない!」


紫優くんの言葉を聞きながら…
お兄ちゃんの言葉を 思い出した。


「…前に お兄ちゃんに言われた事がある。 
生まれた時から…
お前達はいつだって お互いの事を意識してる。
片翼みたいなもんだろ? 失ってもいいのか?って…」

ソファーの上… 膝立ちになって
手を広げて 紫優くんを 抱きしめる。


「失って 良い訳が無い…!
私も 紫優くんが居ないと 心が 壊れちゃう…」

心の底から… 叫びにも似た 言葉と共に
大事な人を 抱きしめる。

それは… 私の一部。
私が 私でいられるための 片翼。


どちらからともなく 指を絡めて
キスをする。


お互いに 大事な人であることに 変わりはない。
今更… 失う訳には いかない。


「…いつから 行くの?」


さっき 傷つけた
紫優くんの頬を 労る様に 撫でながら 
瞳を見つめ 質問する。


「夏に… 1週間くらい 行って来る。」


紫優くんの言葉に… 動きが止まった。


あ… あれ…?

「…そんなに遅くて 平気なの…?
しかも…1週間だけ…?」

もっと… 年明けから1年… とか 2年…とか
じゃ ないの? と
ちょっと 拍子抜けした…。


紫優くんは またも ムッとする。

「1週間も… 
地球のほぼ裏側に 離れ離れなんだよ? 
詩史は 寂しくないの?!
この前の 俺のインフルの時には
それはそれは 情緒不安に なってたクセに!」

「それは そうだけど…
もっと 年単位とか… 離れるのかな~?って
思っていたから 短いな!って 思って…(苦笑)」

「いやいやいや、十分 長いでしょ…!
詩史を 感じる事が出来ない1週間だなんて
気が狂いそう…!
俺は 今から 自分の心が保てるか
心配で 心配で…」

青ざめて 涙目になっている紫優くんが
ちょっと 可愛く感じてくる。

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