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飼い猫 🐈‍⬛🐾

第47章 聖なる夜に…

景斗さんが 笑い続ける横で
私は 上手く反論出来ずに
ただただ顔を赤くして 困り果てた。


「詩史ちゃんは 僕にとって 可愛い娘だ。
赤ちゃんの時から知っているし、 『けーパパ』って 甘えてくれた事を 昨日の様に 思い出すよ♡」


ニコッと微笑む景斗さん。
その顔は 紫優くんそっくりだ… 


「…本当に…
見事に紫優に 手懐けられちゃったね。
今なら逃がしてあげられるよ? いいの?」


景斗さんは 私の顔を覗き込んで 
私の気持ちを 読み取ろうとする。

昔から そう…。 
私が無理してないか こうやって いつも
確認してくれる。


「…はい。 逃げません。」

真っ直ぐ 景斗さんを見て 伝えると
景斗さんは 静かに頷いた。


「…そう。 じゃあ僕も
可愛い娘と 息子の為に  頑張るかな!」


頑張る…? 何を? と
一瞬 頭を巡らせて…
思い当たる。


「… 婚約者さん…?」


口にすると 景斗さんはちょっと驚いてから
困った様な顔をした。


「あ、紫優から聞いた? ちょっと手強いからね。
夏までにしっかり準備して 行かないとね。」


…手強い?

また  不安を感じる…。


「何か… 迷惑掛けちゃう?
私… 紫優くんには邪魔なのかな…?」


本人にも言えなかった不安を 口にする。

私…  紫優くんにとって 良くない存在なのかな…
本人が望んでいても…
離れた方がいいのかな…?

ここ最近…
考えてなかった訳じゃない。

もしかして  紫優くんと
離れなきゃいけないのかも… って。

景斗さんや 夏葉さんに も
迷惑を掛けて いるのかな…?


「邪魔? そんな訳 ないじゃないか…!
寧ろ 詩史ちゃんには 感謝しているよ。

詩史ちゃんには 本当にいっぱい 迷惑を
掛けちゃってるけど…
いつも 紫優の側に 居てくれて ありがとうね。」


景斗さんの言葉に
じわ…っ と 目が潤む。


紫優くんが 大切な存在だと 気がついて
紫優くんの側に居ると 決めたけど
傷付く事は多い。


景斗さんに 感謝されると…
悲しかった事が 全て 報われるみたいに感じた。

だから 景斗さんには 素直に話せる。
繕わずに 見栄も 意地もなく…
私の 本心…。


「私… 紫優くんを失うのが 怖い…」

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