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飼い猫 🐈‍⬛🐾

第51章 冬休み

「や… 見な で…」

酷い、変態な私を 見ないで…

懇願するけど その願いは 勿論
あっさり棄却される。


「なんで?
こんなに可愛いものを 見ないで なんて
無理だよ♡
ココは 詩史の啼き声が反響して とても いいね♡
部屋を 取った甲斐が あったよ♡」


「  へ  や… ?」

さっきから 疑問だった。
この部屋は? 山崎さん達は?


「いい加減 詩史に触りたかったから
借りちゃった♡
皆とは さよならしてきたから
気にせずに 啼いていいよ?」


紫優くんの言葉に どこか 安心して…
快楽に 沈んでく…

気持ちが良すぎて… もう 何も 考えられない。


「詩史は すごいね。 歌まで 完璧な100点満点。
文句のつけようが無い 綺麗な歌声で
ますます 惚れちゃった♡」

紫優くんは ぬいぐるみに 抱きつくみたいに
私を抱き寄せ 頬擦りする。
それから…
さっき 聞いていられなかった
ラブソングを 歌い出す。

『僕は 君を守りたくて 生まれてきたよ。
愛おしい人…  ずっと 側で 笑って欲しい…』

今は 子守唄みたいに 感じる。


「詩史 ちゃんと聞いてた?
詩史を想って 歌ったんだよ?
でも、97点だった。
だから 詩史のして欲しい事 1つ
言う事 聞いてあげる。」


律動を止めることなく…
心地良い波を 生み出しながら
紫優くんが 微笑む。


私のして欲しい事…?


「しうくん…」

「なぁに?」

「…き らわないで 」

言った瞬間…
胸が詰まって 涙が溢れた。


こんな 汚い事を 悦んでしまう私を
恥ずかしい事を お願いしてしまう私を 
嫌わないで 欲しい…


「… わかってないな。」

紫優くんは 短く 溜息を吐くと
全身を包みこむ様に 私を 抱きしめた。


「どんな詩史も 大好きだ。」


ドキッ


真っ直ぐ…
大好き って 言ってくれる
紫優くんの言葉が 私の心も 抱きしめてくれる。


なんでこの人は 私を嫌いに ならないんだろう?


紫優くんの 優しい微笑みを 見ていると…

負けず嫌い も 虚勢を張る事 も
ちっぽけに 思えてくる。

だって 紫優くんは 何をしたって
結局 私を好きだ と言う。

優等生 に 何の価値があるのだろう…?


紫優くんは 私の根幹をも 侵食する。

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