飼い猫 🐈⬛🐾
第52章 従順
必死で 顔を横に振って 否定した。
「しふみんも〜
すっかり 内海くんに心許しちゃって〜♪
内海くんに 全然怒らないよね?」
「う…っ」
晶ちゃんの指摘に…
それ以上 言葉が出てこない。
「あんなに 従順に懐かれたら
流石に しふみんも 内海くんが 可愛いか!」
皆に笑われるけど…
そうじゃない…
紫優くんに 全てを曝してしまった私は
紫優くんを 怒れなくなってしまった だけだ。
何を言っても 何をやっても
紫優くんには 通用しない。
無意味だと 身を以て 思い知って しまった。
紫優くんと 張り合う必要が なくなった今…
優等生でいる必要も ない。
自分の 立ち位置が わからない…
ぐわん… と 世界が揺れて
私だけ 斜めに 立っているみたい だった。
「しーふみ♡ 帰ろ?」
ホームルームが終わると
紫優くんが きゅっと 私に抱きついてくる。
「ごめん 紫優くん。
今日は 図書のお当番で…」
「えー そうなの? 付いてく♡」
私に懐く 大型犬みたいに
見えない尻尾を ぶんぶん振って
嬉しそうに 私に ついてくる。
計算の無い 無邪気な笑顔。
確かに この様子だけを 見れば…
飼い主に よく懐く 従順な大型犬。
傍から見たら… 愛らしい?
最早 誰もが
私達を 認めざるを得ない程に
紫優くんが 浮かれている。
「…紫優くん 馴れ馴れしい!」
堪らなくなって 注意する けど…
「そうかなぁ? でも 仕方ないよぉ♡
詩史が 受け入れてくれるから
嬉しいんだもん♡」
にこぉっと 笑顔を見せて
見えないハートを 振り撒く。
紫優くんの 真っ直ぐ過ぎる 愛情表現を前に
私は ただただ困る。
紫優くんは 同時に
他人を意識した アイドル的な立ち居振る舞いを
すっぱり 止めた。
繕う事を 辞めて
全てを 私に 向けてくるから…
私は
リードを握っているのに 大型犬に 振り回される
飼い主みたい だろう。
紫優くんのファンも さぞかし 困惑している筈…
いや 冬休みの時点で…
山崎さん達は 紫優くんの変化を
感じ取ったに 違いない。
私の左手の指輪も 気がついているだろうし
だから 誰も 何も 言ってこない。
「婚約した様だ」と 噂を流したのは
山崎さん達なんだろう。
「しふみんも〜
すっかり 内海くんに心許しちゃって〜♪
内海くんに 全然怒らないよね?」
「う…っ」
晶ちゃんの指摘に…
それ以上 言葉が出てこない。
「あんなに 従順に懐かれたら
流石に しふみんも 内海くんが 可愛いか!」
皆に笑われるけど…
そうじゃない…
紫優くんに 全てを曝してしまった私は
紫優くんを 怒れなくなってしまった だけだ。
何を言っても 何をやっても
紫優くんには 通用しない。
無意味だと 身を以て 思い知って しまった。
紫優くんと 張り合う必要が なくなった今…
優等生でいる必要も ない。
自分の 立ち位置が わからない…
ぐわん… と 世界が揺れて
私だけ 斜めに 立っているみたい だった。
「しーふみ♡ 帰ろ?」
ホームルームが終わると
紫優くんが きゅっと 私に抱きついてくる。
「ごめん 紫優くん。
今日は 図書のお当番で…」
「えー そうなの? 付いてく♡」
私に懐く 大型犬みたいに
見えない尻尾を ぶんぶん振って
嬉しそうに 私に ついてくる。
計算の無い 無邪気な笑顔。
確かに この様子だけを 見れば…
飼い主に よく懐く 従順な大型犬。
傍から見たら… 愛らしい?
最早 誰もが
私達を 認めざるを得ない程に
紫優くんが 浮かれている。
「…紫優くん 馴れ馴れしい!」
堪らなくなって 注意する けど…
「そうかなぁ? でも 仕方ないよぉ♡
詩史が 受け入れてくれるから
嬉しいんだもん♡」
にこぉっと 笑顔を見せて
見えないハートを 振り撒く。
紫優くんの 真っ直ぐ過ぎる 愛情表現を前に
私は ただただ困る。
紫優くんは 同時に
他人を意識した アイドル的な立ち居振る舞いを
すっぱり 止めた。
繕う事を 辞めて
全てを 私に 向けてくるから…
私は
リードを握っているのに 大型犬に 振り回される
飼い主みたい だろう。
紫優くんのファンも さぞかし 困惑している筈…
いや 冬休みの時点で…
山崎さん達は 紫優くんの変化を
感じ取ったに 違いない。
私の左手の指輪も 気がついているだろうし
だから 誰も 何も 言ってこない。
「婚約した様だ」と 噂を流したのは
山崎さん達なんだろう。