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飼い猫 🐈‍⬛🐾

第57章 嵐

ゾク…っ と
紫優くんの吐息に 震える。


「で? 一体 どういうつもり?」

紫優くんが 男の子を 睨む。


「紫優くん!」

年下相手に やり合いそうな 紫優くんを
止めるけど…

「詩史は 黙ってて!」

逆に 制されてしまった。


「そんなに 睨まれると 怖いんですけど…
内海先輩(笑)」

男の子は 肩を竦める素振りを 見せながら
苦笑いした。


この子…
先輩相手に 飄々としてる…!

そんな雰囲気は 紫優くんに 似ている 気もする。
そういえば この整った 可愛い顔立ち
何処かで… ?


「詩史に 何の用だ?」

「憧れの先輩と お話してみたかった だけ
ですけど?」

「何の 目的で?」

苛立ちを 露わにする 紫優くんに ハラハラする。
紫優くんが 身内以外に
こんなに 敵意を向けるのは 珍しい。


「目的? そうだなぁ…
内海先輩を 骨抜きにする
倉田先輩に 興味が あったから?
でも 確かに♡ 可愛らしい人で
僕も 倉田先輩が 好きだなぁ…♡」

私と目が合うと 男の子は また ニッコリと
微笑んでくる。


「ふざけるなよ お前…」

紫優くんが 益々 苛立つ。


「そんなに 怒らないでよ。
僕がココにいるのは 本当に たまたまだし。」

「信じられるか!
お前… どっちの味方 なんだ?」

「えー? どうかなぁ?
どっちの味方でも 無いかなあ?
僕も 倉田先輩が 気に入っちゃったし♡」

「じゃあ どちらにしろ 敵だな!」


2人の間に バチバチッ と 火花が 散った。


「あ… あの…」

話の見えない私は 恐る恐る 2人に割って入る。

もしかして 知り合い… ?


「ああ… 自己紹介してなかった!
橋岡璃音(はしおか りおん)です。
紫優とは 従兄弟です。」

男の子の説明に 目が点になる。

… 従兄弟?


「詩史… 璃音は その…
愛茉の 双子の弟だ。」

言いづらそうに
紫優くんが 璃音くんを 紹介した。


ゾク…ッ!

愛茉… ちゃん の… ?


「…っ」

自分でも 具合が 悪くなるのが わかる。

久しぶりに聞いた その名前…!
私の中で 完全に トラウマに なっている。 


そう言われて見れば この顔… !


紫優くんが ぎゅっと 抱きしめて…
怯える 私の心を守ってくれる。

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