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飼い猫 🐈‍⬛🐾

第59章 璃音くんのコト

紫優くんは 図書室の奥にいた 私達を
見つけると 顔を 青ざめさせた。

「…っ 璃音…?!
やっぱり… 詩史に 会いに来たな?!」

「紫優くん 違うの…」

本を わざわざ 返しに 来てくれたのだと
誤解を 解こうと 紫優くんに 近づくと…

「先輩 行かないで。 ちゃんと 話すから。」

璃音くんに 手を取られて…
足が 止まった。


「詩史 おいで?」

紫優くんも 私の手首を掴んだ。

引き寄せて 璃音くんから 護る様に
私を 抱きしめると
璃音くんを 睨んだ。


「詩史に 触るな!
お前が望んでも 絶対に 譲らない!」

いつになく 必死な紫優くんに 困惑する。


何を そんなに 怯えているのだろう…?


「へぇ… そんなに 大事なんだ♪
お祖母様も 愛茉も 心配する訳だ。
でも… 先輩が 俺を 選んだらどうする?」

紫優くんは 璃音くんの言葉を 否定する様に
頭を振って 私を 抱きしめ直した。


言い返さない…  なんて 珍しい…!
っていうか…

「い… 痛い… 紫優くん…」

「ぁ… ごめん 詩史!」


「あーあ☆ そんなんじゃ
愛想 尽かされちゃうのも 時間の問題かな~
?」

璃音くんは 冷ややかに笑って

私達から 離れた。



待って… 待って!

「璃音くん! 待って!」

紫優くんの腕から 脱出して
璃音くんを 追いかける。


「詩史…! ヤだ…!」

紫優くんの 悲痛な叫びは
私の心に 届かない。

私は 夢中で 璃音くんを 追いかけた。


今を逃したら もう2度と 話せない気がした。

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