無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

「じゃあ…　先輩だけに　教えてあげますよ。
僕の　居場所。」

璃音くんが　近づいて…
ぎこちなく　私を　抱きしめた。

驚く事も無く…
私は　璃音くんの背中を　撫でる。


「…何で　大人しく　抱かれてるんですか！
紫優に　怒られちゃいますよ？」

「ふふ。　そうだね。
でも…　璃音くんの事も　放っておけないよ。」


璃音くんは　人間関係に　怯えてるけど
心のどこかで　受け止めて欲しいと　願ってる。

璃音くんの可愛い　きれいな　笑顔からは
寂しさも　滲み出ていた。


その気持ち…　わかるよ。

本当は　距離なんて　取りたくないけど
周りの　思い込みとか　勘違いとか…
弁明するのも　疲れちゃう。

でも…　諦めないで欲しい。

私だって　晶ちゃんと　仲良くなれて
今は　理解してくれる友達が　出来たから。

何か…　放って　おけなかった。


「…　先輩は　受け止めてくれる気がして
甘えたくなっちゃう…。
以前　見かけた時は　すごくピリピリしてて
怖い人なのかと　思ってたけど…
図書館で会った時　全然違って…　驚いた。」

「…。」


以前の私…
紫優くんに　ちょっかい出されて
周りに　舐められない様にして…
確かに　ピリピリしてた　だろうなぁ～…！

と　苦笑いする。


「紫優の腕から　顔を出す先輩が
大きな瞳の　白猫みたいに　可愛くて…
つい…　その…　ごめんなさい。」


璃音くんは　キスの事を　謝っているらしい。
でも…

「ふふ…　知ってるよ？」

そう。　キスされたのは 驚いたけど…
「私を好き」とか　そういう感情 からでは
無くて…
まるで 動物に 癒やされたい みたいな
そんな 感じに　思えてた。


「…やっぱり　紫優より先に　会いたかったな…」

「…ソレは　ごめん。
紫優くんは　生まれる前から　私のストーカー
なんだって。」

「それは…　どう太刀打ちしても
無理かな…？」

苦笑いしながら　近づいてきた　璃音くんの唇を

今度は　ちゃんと　手で制した。


「こら。　もうダメだよ。
もう　抱きつくのも　禁止！」

「やっぱ　ダメかぁ…！」

残念そうな　璃音くんに　微笑みつつも
しっかり　頷く。

私に　心を許して　依存し始めている事を
感じたから…。


「私は　紫優くんのモノだから…　ごめんね？」