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ゆらりと　私を見た　紫優くんから
全くと 言っていい程　生気を 感じない。

まるで　ゾンビだ…！


光の無い瞳に　恐怖さえ感じて…
足が すくんだ。

「…っ」


紫優くんは　襲いかかる様に　私を掴んで
渇望したモノを 得ようとする様に
唇と 舌で 私の口内を 荒らした。


「んん…！」

後頭部と頬を　押さえ込まれて　身動き出来ない。
そこには　愛情を 感じない。
無機質な 紫優くんの舌が　私の口内を 貪っていく。


「紫優！ 何してるんだ！ 先輩が…！」

顔を　青褪めさせた　璃音くんが
私と　紫優くんの　間に　慌てて入って
私達を　引き剥がした。

けど すぐに 首を 狙われて…
強い 痛みを 感じた。


「?!　 イ　たぁ…!!! 」


璃音くんを　押し退ける様に
紫優くんが　ぎゅうううっと　抱きしめてくる。

キツくキツく　首も吸われる。


しめつけられる 身体と　首が　痛くて…
思わず ポロポロっと 涙が 溢れた。

力が抜けて　その場に座り込んでも
紫優くんは　首に吸い付いて 離してくれない。

「しぅ… くん…　痛い　よ…」


コレは…　 　
紫優くんの　心の痛み　だと思った。


感覚に 感じる痛みと
紫優くんの 心の痛みが リンクして…
私の心にも 紫優くんの 悲しみが 届いた。

ポロポロポロ… っと 涙が 止まらない。


「紫優！ いい加減に…！」

止めに入ろうとする 璃音くんを
頭を振って 手で 制す。

「璃音くん 大丈夫…」

「先輩…？」


震えた手で　紫優くんを　抱きしめる。

「ごめ… ん。　 ごめんね　 紫優くん。」


紫優くんは 　返事を してくれない。

私の　温もりを　求める様に…
ワイシャツのボタンが　外されていくのを
感じた。

「璃音くん。 もう 大丈夫だから…
帰って ？」

「でも…」

璃音くんが 心配してくれた瞬間…

「…っつ！」

紫優くんが 胸に 吸い付いた。

余りの痛さに…　　涙が　ぽろぽろ…っと
頰を伝った。
　

「しぅ…」


璃音くんに　胸を　晒さない様に
紫優くんの頭を　抱きしめて
許しを請う様に　頭を撫でた。



「先輩は…　それで　いいの？」

気の毒そうに　眉毛を下げて
璃音くんが　聞いてくる。