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飼い猫 🐈‍⬛🐾

第64章 Birthday2

トロン…

飼い主の 目の前で
飼い主以外の 人の温もりに 微睡む。


「詩史ちゃんは 本当に 可愛いわね♡
紫優の 婚約者だなんて 勿体ないわ♡」

夏葉さんに 抱きしめられて
安心し切った 私の様子に
夏葉さんは 嬉しそうに 声を 弾ませた。

紫優くんは 顔面蒼白。
何も言えずに ただただ ショックを
受けていた。


夏葉さんと 景斗さんは いつも こんな風に
私の味方を してくれた。

変わらない。 
小さな時から ずっと…。


「夏葉さん…!
詩史を 甘やかさないで下さい!」

お父さんが 口を出してくるが
夏葉さんが 守ってくれる。


突然 お兄ちゃんが 笑い出した。

「何 やってんだよ 紫優!(笑)
相変わらず だな!
詩史が 嫌がったら
母さんがフォローに 入るのも 知ってるだろ。
いい加減 成長しろよ☆」

悪くなりかけた空気を
笑い飛ばしてくれる お兄ちゃんも…
変わらない。

相変わらず。 優しい…。


「詩史ちゃん♡  久しぶりに ピアノを弾こうか♪
ここのレストランは 定期演奏会があってね…?」

夏葉さんが 私を  ピアノの前へ  連れ出して
くれる。
それから…

「紫優は 暫く 詩史ちゃんへの お触り禁止!」

夏葉さんが ピシャリと 言い放つと
紫優くんは 演技ではなく マジ 凹みした。


「夏葉さん…
私はすっかり 指が 鈍っているので
久しぶりに 夏葉さんの演奏を 聞きたいです。」

「あら。 勿論 いいわよ?
リクエストは 何か ある?」

「では… マーリン メトワの魔法の家の 挿入曲で…」

以前に 紫優くんが 弾いてくれた
私の大好きな 思い出の曲。

紫優くんを嫌いになる前…
小学校1年生の 夏休みに
紫優くんと一緒に 観に行った映画が
『マーリン メトワの魔法の家』。

映画の内容も 曲も 紫優くんも…
全てが キラキラして 見えていた。


「ふふ! 相変わらず その曲好きねぇ♡
勿論 いいわよ♪」

ふわっと 夏葉さんが微笑んで…
演奏が 始まった。


ー♪

音が 鳴った 瞬間から… 空気が 変わる!
コレが 内海夏葉… ピアニストの 本領…!

夏葉さんの音は
私にとって 原点で
懐かしくて 絶対的な癒し。

心が 浄化されていく…。

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