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飼い猫 🐈‍⬛🐾

第72章 婚約者

今まで 生きてきた中で 最大のミスだったな…
と 振り返る。

詩史と 離れる気なんて 更々 無かったのに…

あまりにも 詩史を 捕まえられない 焦りから
弱気になって、 まともな 精神でなかった 俺は
気の強い ばあちゃんに 言われるがまま
婚約者の存在を 容認して しまっていた。


当時10歳の孫に 婚約者を用意するなんて
怜央に なら まだしも…
どれだけ 経営が大事なんだか…


「相手は 長年 ウチと 取引して
くださっている所の ご令嬢。
失礼が無いように 断るのは 至難の業だな。
でも 紫優…
出されたものは 一切 口に するなよ?」

父さんも いつになく 顔色が 冴えない。

「あの人… 姑息な手を 容赦なく
使ってくるからな…。
張り込みと 護衛を 雇ったけど 用心してな!」

「…わかってるよ。 父さんには 感謝してる。」


長時間のフライト
寝て 過ごす前に…

スマホを開いて
詩史の寝顔の 画像を 見つめる。

嗚呼 可愛い…! ♡
早く 全てを 終わらせて 詩史に 触れたい!

指で 画面を撫でて 愛しさを 募らせた。


「ニヤケ顔…! 詩史ちゃんの 写真?
僕にも しーちゃん充電 させて?」

横に 座っていた 父さんが 詩史の画像を
見たがる。

「だーめ! 絶対に見せない!
俺だけの 寝顔 なんだから!」

「ちぇー! 紫優 冷た〜い!
いいもんね! こっちにも しーちゃんとの
ツーショット画像 あるんだから!」

「は? 何それ! 見せて!」

「だーめ! 絶対に見せない!
僕だけの しーちゃん なんだから!」

やり返されて…
ぐぬぬ…っと 怒りに 震える。

「全く! しーちゃんの事になると 相変わらず
ムキになるね…。」

呆れた様な口調で 苦笑いする 父さんに
拗ねて… ふいっと 顔を 逸らす。

「…仕方ないでしょ。
それほど 好きなんだから…。」


詩史の事になると 冷静に なれない。
1番 冷静に ならなきゃ いけないのに…
野獣の様な 自我を 抑えるのに 必死だ。


「おやすみ 紫優。
目が覚めたら 戦いだよ?」

父さんの言葉に 頷いて 目を閉じた。


おやすみ 詩史…。
必ず 婚約 破棄して 帰るから
詩史の隣は 空けておいて…?


夢の世界で
詩史と イチャつきたい と願った。

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