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飼い猫 🐈‍⬛🐾

第75章 浮気

紫優くん…
ずっと ずっと 待ってた…

いいコに してたよ…?


仕返し… と 称して
璃音くんが 私に預けて行ったのは 
ライト(Light)くん という名の 猫ちゃん
だった。

白が多めの 茶トラちゃん。
真ん丸お目々が 何とも 愛らしい
懐っこい オス猫だった。

こんな 可愛いコを 預かる事の
どこが 仕返し? と 頭を 傾げながらも…

ライトくんの 愛らしさに 癒やされて
紫優くんへの 恋しさは すぐに 薄らいだ。

母性に似た 愛情が湧いて
お預かりの ライトくんを 
璃音くんの 代わりに 必死で 守ろうとした。


『紫優 無事に 婚約破棄 しましたよ。』

途中に入った 璃音くんからの 報告メールは
喜ぶどころか 罪悪感を 覚えて…
ライくんのお世話に より一層 注力した。

だから…

紫優くんが 帰って来た事 よりも
大切に 預かっている ライくんを 怯えさせた
紫優くんに 怒りが 向いてしまった。


「もう! 紫優くん! 暑苦しい! 離して!」

キッと 睨むと…
紫優くんは とっても 悲しそうな顔をした。

その時に 初めて…
ライくんを守ろうと 牙を剥いた母性が 途切れた。


あ… れ?


紫優くんの 泣きそうな 表情に ハッとして…
胸を 痛めた。


愛しい飼い主様が 悲しんでる…?


ライくんを 抱えたまま 混乱した。


「なぁお〜♡」

私の腕の中で ゴロゴロと甘える ライくんを
見てたら…

私の飼い主様が 帰って来た のだと
やっと 気がついた。

サーーーっと 血の気が引く。

紫優くんを 悲しませた事実に 焦りながらも
ライくんを 放り出すわけにも いかず…

ライくんの お昼寝を 見届けてから
紫優くんに 会いに行った。


紫優くん 違うの…!
待ってた…
ずーっと ずーっと 帰りを 待ってたんだよ?
お外にも 行かなかった。

紫優くんの 帰りを
いいコにして 待ってた…!

身体中に 刻まれた 沢山のキスマークが
見る度に 薄れて 消えて…
とっても 悲しかったの 。

指輪だけが 支え だったよ…?


紫優くんの部屋の ドアを ノックする。
けど 返事が無い。

恐る 恐る ドアを 開けた。


ベッドの上…

紫優くんは 仰向けで 手足を投げ出して
爆睡していた。

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