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飼い猫 🐈‍⬛🐾

第78章 進路

「ありがとう!
そうだね…  お互いに 頑張らないとね!」

精一杯 笑顔を 作るけど…
上手く 笑えない。

身も 心も 紫優くんに 依存している今
離れる という 行為は
身を裂かれる様に 辛い。

分かりやすく 落ち込んだ 私の顔を
紫優くんが 覗き込んで来る。

「詩史… ?」

私は 何も 答えられない。
言葉に 出来ない。

目に 涙を 溜めて
泣きそうに 昂る感情を 必死に やり過ごす。

「…詩史 俺と 居たいの?」

紫優くんの言葉を 頭を横に振って 否定する。

目を閉じて…
自分の感情を 無理矢理 押し殺す。

「何 言ってんの…」

「そう?
俺は 詩史と 離れたくないよ…?」

紫優くんの トーンダウンした 言葉が
折角 留めた 私の感情を 揺さぶる。
悲しみの 感情が 心を 支配した。

「…っ ひどいよ 紫優くん…
私を こんなに 弱くする なんて…
だから 嫌だったのに…!」

だから 紫優くんを 好きに なるなんて
嫌だったんだ。

ぽろぽろぽろぽろ…
涙が 溢れ落ちる。


最初っから わかってた。

私は 紫優くんに 依存して 依存して…
紫優くんが 居ないと 自分を 保てない…!

紫優くんは 最初から 知ってた筈だ。
それなのに…
置いて 行くんだね…


怒り も 出て来ない。
ただ ただ 弱々しく 泣き濡れる。

こんな 弱い自分は 嫌いだ。


「そうだね。 辛くて… 苦しい よね。
心が 痛いね。 もう ずっと 離れたく ないね。
このまま 時が 止まれば いいのに って
俺も 本当に そう 思ってる…。」


ずっと 一緒に 居られない なんて
当たり前な事 なのに…
心の 何処かで わかっていた筈 なのに…!

「いや だ…」

駄々をこねてみる。

子供か…! 恥ずかしい!
何 ワガママ 言ってるの。 高校生にも なって…

理性が 私を 叱責する。
けど…
思いが 止められないの…

「嫌だ… よぉ…!」

まるで 飼い主に 見捨てられる様な 恐怖。

震える手で…
紫優くんのワイシャツを 掴む。

紫優くんは 私の背中を 抱き寄せて
髪を撫でて… 私を 落ち着かせようとする。


「… 詩史…
『俺と 居たい』って 泣いて くれるんだね…
嬉しいな…」

泣きながら…
紫優くんの 言葉に 苛つく。
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