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飼い猫 🐈‍⬛🐾

第82章 桜咲く 春

紫優くんの胸に 頬を寄せると
そのまま 抱き寄せられて…

温もりと 優しい抱擁に 安心する。


「ごめんね? 俺も本当は 一緒に
決めたかったんだけど…
ほら、 翔さん 言い出すと 聞かないし…(笑)」

困った様な 顔をする 紫優くん。

頭を 撫でられている セイか
怒る どころか ふわふわ する。

「受験勉強 頑張ったね!
詩史は 本当に凄いよ!」

話題を変えて 紫優くんが 褒めてくる。

素直に 受け取れない私は 何か裏でもあるのか
と 訝しげな顔で 紫優くんを 探る。

油断した所に とんでもない要求が 来そうで
気が抜けない。

警戒心 丸出しの私に 紫優くんは 可笑しそうに 笑った。

「胸に 擦り付いて 甘えてるクセに
何 その 信用してません みたいな顔!(笑)
本物の猫の方が よっぽど上手に 甘えるよ?」

言われてみれば…
甘えてるくせに 気を 許し切っていないのは
おかしな話かも…?

でも そうさせてるのは 紫優くん なんです
ケド? と 更に 冷たい視線を 送る。


「全く 詩史は…
相変わらず 表情を ころころと 変えるね!」

くっく… と声を立てて 笑ってから
可愛げのない 私の頭を 更に 撫でる。 

「いや、本当に… やると決めた 詩史には
敵わないよ。 本当に 凄いと 思うよ。」

穏やかに 微笑む 紫優くん。


ちょっと前だったら
紫優くんだって 悔しそうな表情を 見せて
私に 対抗心を ぶつけて来たのに…

今は 誇らしいとでも 言うように
私を 労う。


何だか…
バチバチに 戦ってきた筈の ライバルに
一方的に 終戦宣言された みたいで…
心地悪さを 感じた。

そもそも 受験勉強なんて 自分の為で
紫優くんと 争っていた訳でも無いし。
 
そんな事を言ったら
紫優くんの方が 自分の事と 私の管理と
完璧に 熟してくれちゃって…

そう 考えたら

負けている みたいで
段々と 腹立たしさが 募った。

イラ…ッ と 紫優くんを 睨む。


「え…っ? 褒めてるのに
何で そんなに 睨んでるの???」

困惑する 紫優くんの腕を 乱暴に払って
腕の中から 抜け出した。

「甘やかされて 懐く 可愛い猫 じゃ
ないのよ。」

冷たく 言い放って 見下すと
紫優くんは 頬を赤くした。

…っ 変態 !!!

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